口の形成メカニズム解明=細胞接着遺伝子が関与―大阪大
時事通信 4月18日(木)15時26分配信
細胞同士の接着に関与する遺伝子が、口の形成で重要な役割を担っていることを、大阪大大学院歯学研究科の阪井丘芳教授らのグループがマウスの実験で発見した。米科学誌プロスワンで18日発表した。
口は胎児の時に、顔の左右から伸びるいくつかの突起がくっついて形成される。うまくくっつかないと、唇や上顎が割れる口唇裂や口蓋裂などになり、言葉や摂食に障害が起きるという。
研究グループはマウスを使い、口の形成過程で、突起がくっつく部分にどのような遺伝子が関与しているかを調べた。
その結果、「CEACAM1」と呼ばれる遺伝子が形成前に比べ、形成中は約38倍、形成後は約106倍に増えていた。通常のマウスは上顎がくっついて口を形成するが、この遺伝子の機能を阻害すると5割程度しかくっつかなかった。CEACAM1の量は、TGFベータという別のたんぱく質が調節していることも分かった。
CEACAM1は、がんの抑制や血管の形成などへの関与が知られているが、体ができる初期段階の役割が分かったのは初めて。
阪井教授は「口蓋裂などは手術しか治療法がなかったが、胎児の段階でCEACAM1をきちんと働かせるような予防や治療への応用を目指したい」と話している。