NHK大河ドラマ「龍馬伝」(日曜午後8時)が好調を維持しているが、いつもの大河らしくない作風に、視聴者からは素朴な「?」もわき上がっている。特に気になるのが、何だか映画っぽい映像と、大河史上かつてない汚さの岩崎弥太郎。素朴な「何で?」を制作者にぶつけてみた。
「今までの大河とは明らかに変わったので、『どういうことですか?』という問い合わせは多いです。まず一つは、カメラが違うんです」と鈴木圭チーフプロデューサー(CP)。
今回使われたのは「プログレッシブカメラ」と呼ばれるカメラ。「白洲次郎」や「坂の上の雲」でも使われたが、大河では初めて。ごく大まかに説明すると、通常、テレビの動画は一秒間に三十コマの画像でできている。通常の番組で使われているインターレース方式は、この一コマを半分ずつ二回に分けて見せている。プログレッシブ方式はそのまま三十コマ。ちなみに、映画のフィルムは一秒間に二十四コマ。コマ数が近いので、映画とよく似た映像になる。「ややコマ落とし感はありますが、黒みが濃く出たり、明暗がくっきりしたりして、深みのあるリアルな映像になるんです」(鈴木CP)。
「龍馬伝」の演出は「ハゲタカ」の大友啓史監督。照明も特徴的で、「ハイビジョンだから隅々まで明るく、きれいに」ではなく、まぶしいほど光が当たるところもあれば、濃い影が落ちているところもある。「風」も隠し味になっている。竜馬(福山雅治)が出るシーンは扇風機で風を起こし、たかれたスモークがかすかに漂い、文字通り「空気感」を生み出すのだ。カメラの違いだけではなく、これら演出のこだわりが相まって「映画っぽい」印象を与えているようだ。
ただし、今後の大河はすべて映画風になるのかといえば、そうでもなさそう。
「幕末って、わずか百五十年ほど前の、本当にひと昔前の話だから、作り物っぽくない、今までの大河では見たことがないリアルな映像を作りたいという狙いがあり、その手段としてこのカメラを使った。どんな作品でもプログレッシブがいい、ということではありません」
◆汚すぎる!?弥太郎の外見
「何もここまで…」と思いつつ、目が離せなくなる香川照之演じる岩崎弥太郎の汚さ。
鈴木CPによると、「儀式」と呼ばれるものがあるという。撮影前に出演者に扇風機の前に立ってもらい、料理に使うコーンスターチの粉を振り掛ける。粉がかかった衣装はなじんだ風合いになり、絶妙なリアル感が出るという。
「それを行き着くところまでやったのが弥太郎。歩くと鱗粉(りんぷん)状態。香川さんもご自分で『オレは蛾(が)だ』って言ってます」。粉は弥太郎の家のセットにも、まんべんなく振り掛けてある。テレビで見ていると、家に入っただけで服が汚れそうだが、まさにその通り。
歯はメーク用の塗料で黒く塗っていて、着物はもともと古いものを、さらに破ったり汚したりしてぼろぼろにしている。
実は弥太郎の汚れレベルは心理状態や状況に応じて五段階くらいあり、加尾(広末涼子)に求婚した場面はレベル2程度のオシャレな部類だったとか。
「確かに『やりすぎ』という声はあるし、実際はここまで貧乏ではなかったという説もあるけど、弥太郎は、すごろくで言えば、どんどん上がっていく人。それを分かりやすく見せるために、全部で十段階くらいの扮装(ふんそう)を経ていきます。また、竜馬との対比で強調しているところはあります」
弥太郎が背負う鳥かごも「やりすぎ」感が強い。もはや体の一部と化し、誰が呼んだか「ハウルの動く城」との異名が。
ところが、これが意外に人気で、高知県安芸市の「土佐・龍馬であい博 安芸・岩崎弥太郎こころざし社中」では、再現された鳥かごが展示され、その前が記念撮影ポイントとなっている。
2/26 東京新聞
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「今までの大河とは明らかに変わったので、『どういうことですか?』という問い合わせは多いです。まず一つは、カメラが違うんです」と鈴木圭チーフプロデューサー(CP)。
今回使われたのは「プログレッシブカメラ」と呼ばれるカメラ。「白洲次郎」や「坂の上の雲」でも使われたが、大河では初めて。ごく大まかに説明すると、通常、テレビの動画は一秒間に三十コマの画像でできている。通常の番組で使われているインターレース方式は、この一コマを半分ずつ二回に分けて見せている。プログレッシブ方式はそのまま三十コマ。ちなみに、映画のフィルムは一秒間に二十四コマ。コマ数が近いので、映画とよく似た映像になる。「ややコマ落とし感はありますが、黒みが濃く出たり、明暗がくっきりしたりして、深みのあるリアルな映像になるんです」(鈴木CP)。
「龍馬伝」の演出は「ハゲタカ」の大友啓史監督。照明も特徴的で、「ハイビジョンだから隅々まで明るく、きれいに」ではなく、まぶしいほど光が当たるところもあれば、濃い影が落ちているところもある。「風」も隠し味になっている。竜馬(福山雅治)が出るシーンは扇風機で風を起こし、たかれたスモークがかすかに漂い、文字通り「空気感」を生み出すのだ。カメラの違いだけではなく、これら演出のこだわりが相まって「映画っぽい」印象を与えているようだ。
ただし、今後の大河はすべて映画風になるのかといえば、そうでもなさそう。
「幕末って、わずか百五十年ほど前の、本当にひと昔前の話だから、作り物っぽくない、今までの大河では見たことがないリアルな映像を作りたいという狙いがあり、その手段としてこのカメラを使った。どんな作品でもプログレッシブがいい、ということではありません」
◆汚すぎる!?弥太郎の外見
「何もここまで…」と思いつつ、目が離せなくなる香川照之演じる岩崎弥太郎の汚さ。
鈴木CPによると、「儀式」と呼ばれるものがあるという。撮影前に出演者に扇風機の前に立ってもらい、料理に使うコーンスターチの粉を振り掛ける。粉がかかった衣装はなじんだ風合いになり、絶妙なリアル感が出るという。
「それを行き着くところまでやったのが弥太郎。歩くと鱗粉(りんぷん)状態。香川さんもご自分で『オレは蛾(が)だ』って言ってます」。粉は弥太郎の家のセットにも、まんべんなく振り掛けてある。テレビで見ていると、家に入っただけで服が汚れそうだが、まさにその通り。
歯はメーク用の塗料で黒く塗っていて、着物はもともと古いものを、さらに破ったり汚したりしてぼろぼろにしている。
実は弥太郎の汚れレベルは心理状態や状況に応じて五段階くらいあり、加尾(広末涼子)に求婚した場面はレベル2程度のオシャレな部類だったとか。
「確かに『やりすぎ』という声はあるし、実際はここまで貧乏ではなかったという説もあるけど、弥太郎は、すごろくで言えば、どんどん上がっていく人。それを分かりやすく見せるために、全部で十段階くらいの扮装(ふんそう)を経ていきます。また、竜馬との対比で強調しているところはあります」
弥太郎が背負う鳥かごも「やりすぎ」感が強い。もはや体の一部と化し、誰が呼んだか「ハウルの動く城」との異名が。
ところが、これが意外に人気で、高知県安芸市の「土佐・龍馬であい博 安芸・岩崎弥太郎こころざし社中」では、再現された鳥かごが展示され、その前が記念撮影ポイントとなっている。
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