中国は2月14日から春節(旧正月)に入り、約1週間前後のお正月休み。さすがに春節の前後は帰省する出稼ぎ労働者の人たちが大きな荷物を抱えて、駅やバスターミナルはごった返していたが、もうすでに春節の人民大移動は終わり、静かなもの。
さて、今回乗った『武広高鉄』、世界一の速さで、普通の列車で約10時間かかっていた広州~武漢間を約3時間で走りぬけるという、夢の高速鉄道。
私が2001年と2002年に武漢、武昌駅から広州駅まで列車に乗った時は約12時間ほどかかったし、今でも普通の列車だと赤壁駅から広州駅まで約9時間はかかる。
でも、2009年末に開通した武広高速鉄道だと、広州から赤壁まで約3時間!!超・高速。しかも、この高速鉄道は最高速度390キロと世界一の速さを誇っている。
…しかし、色々と問題も。
開通40日で5回も故障してるんですよ。
最近は乗客がトイレで喫煙したのが原因で湖南省の長沙駅で2時間以上立ち往生し、客車間のドアが故障し開かなくなってしまったため、乗客の一人が非常脱出用のハンマーで窓を叩き壊したとか…。
今回は故障もなく、そんな心配をよそに何の問題もなく赤壁北駅へ到着し、ホッと一安心。でも、番禺にある広州南駅まで行くのに面倒なこと…、広州市内の我が家からタクシーで45分はかかりました。
これは、広州の白雲国際空港に行くのと変わらないぐらいの時間。早朝だったので道路の渋滞はなかったけれど、昼間だったら渋滞に巻き込まれていたに違いない。
今回は朝6時の暗いうちに出発して、7時ごろ広州南駅に到着。
この日は特別寒い日で、風は吹き込まないが、広州南駅の待合室は冷蔵庫のように寒かった。そこで、20分ほど待って、7時30分ようやく乗車開始。チケットを出して、サービスの水を貰い、チケットにスタンプを押して貰う。
なんで、スタンプが必要かというと、一部の乗客の中にはサービスの水を何本も貰おうとする人がいるから(苦笑)
「こんな高い列車に乗れる裕福層の中国人にも、まだそんな人いるの?」と思いながら、水を受け取っていると、なんか図々しそうな中国人のおばちゃんが列に割り込んで来て、
「あと、3本ぐらいちょうだい!」
とか言い始め、駅員さんが「申し訳ありません。チケット1枚につき、1本です。」と言うと、おばちゃんはそれでも喰い下がり、「どうせ、タダなんだし、いっぱいあるんだから余計にくれたって良いでしょう!」とカウンターを叩きながら怒っていた。
これには、並んでいた人たちも苦笑い。
これが、世界一の速さを達成できても、乗客のモラルの高さを達成できていないとバッシングを受ける一つの原因なんだろうか。
私は日本で新幹線や成田エクスプレスに乗ると車内も綺麗だし、静かで乗客達も大体はモラルが高いと感じる。
たとえば携帯電話のマナー。
日本でも座席でメールぐらいはするけど、電話に出たり、かけたりする時は席を外したり、下車してからかけ直したりする人が多い。でも、高速鉄道内では…乗客が大声で電話をかけているので、ハッキリ言って全然静かじゃなかった。
あとはゴミのマナー。
ちゃんとゴミ袋がおいてあるのに、ミカンの皮やらお菓子のカスや袋などを床に捨てる。綺麗な車内なのに何でそういうことが平気でできるのかが不思議でならないし、こればっかりは9年近く中国に住んでても慣れない。日本人として、慣れるべきではないと思うけど…。
武広高速鉄道、乗客のモラルも世界一と言われる日は、いつやって来るのだろうか?
関口知宏の中国鉄道大紀行〈1〉最長片道ルート36,000kmをゆく 春の旅 ラサ~桂林関口 知宏徳間書店このアイテムの詳細を見る |