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「私の本棚2014.6.24」

2019-05-06 15:17:44 | 経営コンサルタント

 

■      今日のおすすめ

 

 『行動科学を使って、できる人が育つ!「教える技術」』(著者:石田 淳 発行所 かんき出版)

 

■      「行動科学マネジメント」知っていますか(はじめに)

 「行動科学マネジメント」と始めて出会ったのは今から3年ほど前でした。「行動科学マネジメント」に興味を持ったのは、『いわゆる「マニュアル」と「行動科学チェックリスト」は違う』という言葉に惹かれました。「行動科学チェックリスト」は『MORSの法則』により作られるべきだというのです。ちょうど、マニュアル作りを研究していた時、この『MORSの法則』に出会い、この法則を使ってマニュアルを作ると、今まで描いていたマニュアルとは全く異なる、まさに、良い結果を出せるマニュアルに変身する確信を持ちました。(『MORSの法則』については項を改めて詳述します。)

 二つ目に惹かれたのは「根性が足りないからだ」というような精神論とは異次元のマネジメントを目指しているところです。すなわち「良い結果」に結びつく「望ましい行動」を「行動科学チェックリスト」に創りこむことに加えて、「望ましい行動」をしたくなる環境を整えることに力点を置いている点です。これを『ABCモデル』というモデルで説明しています。(『ABCモデル』については項を改めて詳述します。)

 

■      『MORSの法則』と『ABCモデル』を自分のものにしよう

【行動科学マネジメントのキー】

 行動科学マネジメントのキーは2つあります。一つ目は、「行動科学チェックリスト」の作り方、二つ目は、よい結果に繋がる「望ましい行動」が継続して行われるような環境つくりです。一つ目を支える考え方(フレームワーク)が「MORSの法則」です。二つ目を支える考え方が「ABCモデル」です。この二つについて、次に詳述します。

【MORSの法則】

 “やらねばならない”という気持ちに陥らせ、成果への繋がりが相対的に低い、いわゆる「マニュアル」を、成果に大きく結びつく「行動科学チェックリスト」に変身させるにはどうしたら良いか。その方法論が「MORSの法則」です。

 現在行っている業務を、Work Breakdown Structureを通じて、分解し、標準化・共有化し、「マニュアル」を作る。これが通常のマニュアルを作るプロセスです。これだけでも何もない状態と比べると、格段の良い成果に繋がるスタート台ができたといえます。このマニュアルを「MORSの法則」で革新的に作り直すことで、更なる良い成果に繋がる「行動科学チェックリスト」が出来上がります。

 「MORSの法則」を適用して作られた「行動科学チェックリスト」は、いわゆる「マニュアル」とどこが違うのでしょうか。

 まず、Measured(計測できる、数値化できる)であるということです。すなわち、「きちっと常識的に行う」などという表現ではなく、KPIのような形で、数値化で表現されるよう工夫をしていることです。

 次は、Observable(観察できる)であるということです。これには二つの意味があります。一つは誰が見ても、あの「行動」をしているのだと共有・共感できるまでに、とるべき「行動」が具体的に表現され、練り上げられているということ、二つは、他者あるいは自己による評価が容易に出来るチェックリストになっていることです。この要件が備わっていることにより、実際に評価を行い、良い成果に結びついていない場合は、「行動」の内容を変え改善をしていく、良い成果に結びついた場合は、その「行動」を評価し、「リワード(Rewards=ごほうび)」を与え、その行動が繰り返し、継続して、自発的に行えるような、行動の「リインフォース(強化)」が可能になるのです。

 三つ目は、Reliable(信頼できる)であるということです。すなわち、「この行動はこの成果に繋がる」、「この行動をしていれば大丈夫」という信頼感を、現場も、リーダーも、経営者も共有できる内容にまで、日常的なPDCAサイクルを通じて、練り上げられているということです。

 四つ目は、Specific(明確化されている)であるということです。すなわち、どのような場合にどのような行動をとったらよいか、具体的な「行動」として明確化されており、加えて、仕事の流れを追ってこまごまと書く「マニュアル」とは違い、「成果に結びつく行動」=「ピンポイント行動」を抽出したものをリストにすることにより、チェックリスト項目が少なく、且つシンプルであることです。

 以上の四つの要件を備えた「行動科学チェックリスト」の作り方が「MORSの法則」です。是非この法則を使って、既存の「マニュアル」を変身させて下さい。

【ABCモデル】

 「望ましい結果」に結びつく「望ましい行動」をどうして起こさせるか。『「望ましい行動」を進んでやる』『行動自発率』をいかに高めるか。その方法論が「ABCモデル」です。

 「ABCモデル」のAは(Antecedent=先行条件)、Bは(Behavior=行動)、Cは(Consequence=結果)を表します。「ABCモデル」は、人間の行動連鎖は、Aという状況があって、Bという行動を起こし、Cという結果になるという、至極、当り前の事を表しているのです。

 それでは、人の、当り前の行動法則を踏まえて、よい結果に繋がる「望ましい行動」が継続して行われるには、どうしたら良いのでしょう。

 まず、「望ましい結果」の出る仕組みを作ることです。それはすでに述べました「MORSの法則」の要件を備えた「行動科学チェックリスト」があることです。検証と見直しにより、練り上げられた「行動科学チェックリスト」に基づく「望ましい行動」により「望ましい結果」が出ます。「望ましい結果」が得られれば、現場の「望ましい行動」をとる頻度が高まるでしょう。

 これで満足してはいけません。「望ましい行動」を自発的に行えるようにすることが次のステップです。これを『「行動自発率」の向上』といいます。『「行動自発率」の向上』を促すことは、褒めること、「リワード(Rewards=ごほうび)」を与えることによって可能になるのです。

 リワード(Rewards=ごほうび)を戦略的に、経営に取り入れることを、「トータル・リワード戦略」と表現しています。「トータル・リワード」とは簡単に言えば、「この会社で働いてよかった」「この人たちと一緒に仕事が出来てうれしい」「社会に貢献できてうれしい」と、現場が心から思えることです。それには、従来の金銭的報酬(賃金+福利厚生)に加え、非金銭的報酬を与えることが出来る経営にする必要があります。

 非金銭的報酬には、「感謝と認知」「仕事と私生活の両立」「企業文化や組織の望ましい体質」「成長機会の提供(キャリアプラン)」「労働環境の整備(広い意味でのコンプライアンス)」が挙げられます。

 簡単で当たり前の「ABCモデル」から導き出せる、「望ましい結果」を持続的に、かつ時間の経過とともに更なる「望ましい結果」を生み出す、仕組みの構築について述べさせていただきました。

 

■      「行動科学マネジメント」の導入で見ちがえる成果がでる(むすび)

 貴方は今、どのようなマネジメント・システムをやっておられますか。ISOですか、シックス・シグマですか、5Sですか。いまやっておられるマネジメント・システムに、この「行動科学マネジメント」の光を当ててみてください。今までのマネジメント・システムに「行動科学マネジメント」的な変革を加えてみてください。

 変革すべき点がかなりあるのではないでしょうか。「行動科学マネジメント」的な変革が加わったマネジメント・システムを継続的に実行してください。必ず、見ちがえる、今までとは様変わりの成果が出てくるのではないでしょうか。

 「行動科学マネジメント」について、紹介本に書かれていない内容についても書かせていただきました。紹介本をきっかけに、「行動科学マネジメント」がマネジメント手法の一つとして、皆様のお仕事の一助になればと思い、本書を紹介させていただきました。

 

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中

https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

http://sakai-gm.jp/index.html

 

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