明石の海に住んでいた子タコのキューちゃんは、ある日うっかりタコつぼに入って
しまい、漁師さんに引き上げられてしまいました。
キューちゃんは、他の仲間と一緒に船から降ろされると、大勢の人間がいる
広いお部屋に連れて行かれました。
そこには、いつも海で一緒に遊んでいた色んなお魚が、山のように並んでいました。
やがてキューちゃんは、あるお魚屋さんに売られて行きました。
トラックに乗せられて、お魚屋さんに着くと、すぐにお店のおばさんが
キューちゃんを糸で縛って、外の大きな網の上に並べ始めたのです。
太陽がぎらぎらと照りつけて、キューちゃんの身体は見る見るうちに
乾いて行き、今までふっくらとしていた身体は、ぺしゃんこになってしまいました。
「これじゃ、もう海で泳げないよぅ。おうちに帰りたいな・・・。」
キューちゃんは自分が干物にされたことを知りません。
そこへ、突然強い風がぶーんと吹いて来たと持ったら、繋がっていた糸が
ぷつんと切れて、キューちゃんのぺらぺらの身体は、ふわりふわりと空へ
上がって行きました。
「うわぁ!飛ばされる~。だけど、だけど、何だか楽しいかも・・・^^。
いつも海の中から空を見上げていたけど、空って楽しいな。空を飛ぶって
すごいや!」
キューちゃんは嬉しくなって、どんどん遠くへ飛んで行きました。
「あ!船だ。船は、上から見るとすごいな。あんなふうになってたんだ。」
キューちゃんは船を飛び越して、今度は海の中からビューっと噴水のように
水を吹き上げている、大きな大きなものを見つけました。
「あんな大きな魚は、見たことが無いぞ。あれは一体何の魚だろう。
すごいなぁ、ぼく、友達になりたいよ。」
そう思ったとたんに、急に風がピタリと止んで、キューちゃんはヒラヒラと
海へと落ちて行きました。
「うわぁ。お魚に当たるよ~。」
ぺらぺらのキューちゃんの身体は、大きなお魚の背中に落ちてぴったりと
張り付いたのです。
「あれ・・・お魚にくっついちゃった。」
キューちゃんは、恐る恐るお魚に話しかけてみました。
「こんにちわ、大きなお魚さん。ぼくはキューちゃん、お魚さんは誰?」
「やあ。おいらはクジラだよ、タコの干物君。」
「えっ?クジラっていうの?とっても大きんだね。こんなに大きいと、海が溢れて
しまわないの?」
「あはは、海はもっと大きいから、大丈夫なのさ。」
キューちゃんはクジラさんと友達になりました。
優しいクジラさんは、キューちゃんを背中に乗せて、生まれた海まで送って
行ってくれました。
キューちゃんのお父さんとお母さんは、毎日心配してキューちゃんを探していたので、
たとえ薄っぺらになってしまっても、キューちゃんが帰って来て大喜びでした。
キューちゃんは、お父さんやお母さんと三人で、今も楽しく暮らしているそうです・・・。
(これ、パクリっぽい?それに安易な終わり方・・・かも。)