『勤務地シンガポール』

残りの人生どう生きるか迷い続けてこのまま終わってしまいそうです

目線が変わると視界が開けた

2009年08月25日 | スリランカのこと

 昨日の記事を書いて、その「目線」という言葉からの連想で思い出したことがあります。それは初めてスリランカに行ったときのことです。

 私はまだ「地球の歩き方」のスリランカ版が出る前に初めてスリランカに行きました。あのときはあらゆる場面で面食らいました(笑)。「ここはまだ日本の戦後間もない頃のようだ」、だなんて、今思うととっても滑稽な話ですが、だって自分も“戦後”を体験していないのですから(笑)、でも知ったかぶりでそう“分析”してしまっていたのです。

 素足、食事、水、トイレ。彼らにとっては日常の生活でも、私にとってそれは、物凄い環境の変化で、はじめのうちは本当に大変でした。

 いろいろなところで我慢していますから体調も崩し易くなります。そんなある日、とうとう熱を出して寝込んでしまいました。

 寝込んでいるとき看病してくれたのは、そのときにお世話になった家族の皆さんでした。当時はシンハラ語も出来ず、英語も片言で、意思疎通もままならない感じでしたが、本当に良くして頂いた。肌で感じる優しさ、とでも言うのでしょうか、言葉は分からなかったのですが、彼らの気持ちが毎朝その家の女の子が運んで来てくれるミルクティーの中に溶け込んでいるような気がして、今でもあの熱が下がった朝に頂いたミルクティーの味は忘れられません(笑)。

 その熱が下がって体調が回復したときのことでした。ある日私は自分の「視界」がパーッと開けたのを感じました。そしてそれから後は、素足でも、スプーンがなくとも、シャワーが水でも、そしてトイレにトイレットペーパーがなくても、全く平気になりました(笑)。それら全ては彼らの「日常」であって、外国からいきなりやって来た者が、遅れているとか進んでいるとか、そんな基準を持ち込むこと自体ナンセンスなのだと感じました。当初、上から見下ろすような目線で見ていたと思われる自分の目線が、彼らの目線に近づいたとき、私は、彼らの日常からやっと、と言いますか、本格的に、「受け入れてもらった」ような、そんな気がしたのを今でも覚えています。そしてその後の滞在はとても楽しいものになり、数年後、荷物を全部まとめてスリランカに行ってしまうほどスリランカに惚れ込んだ、そんな20代の時代がありました(笑)。

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