16日の金曜日は天王洲の銀河劇場で、もともと予定していた、三谷幸喜さん作・演出&片岡愛之助さん主演『酒と涙とジキルとハイド』を観てきました。ここに来るのは数年ぶり…前はいったい何を観たのだったか。思い出せません。(苦笑)
ちなみにこの作品、4月10~30日まで池袋の東京芸術劇場で上演していて、5月4日~18日までが銀河劇場、5月22日~25日は梅田芸術劇場公演と、東京公演の最後に近い日程です。三谷さんの脚本で現代劇の舞台に立たれる愛之助さん観たさ…というライトな理由で、ちょっと出かけてみる気になりました。基本的に舞台はこういう「出来心」で観に行くことも多いのですよ(^^;
≪公式HP≫
http://www.gingeki.jp/performance/index.php?date=201405
≪キャスト≫ 敬称略
ジキル博士:片岡愛之助
ハイド(=ヴィクター):藤井隆
イヴ(ジキルの師で医学界の重鎮ダンヴァーズ博士の娘、ジキルの婚約者):優香
プール(=ジキルの助手):迫田孝也
≪あらすじ≫
舞台は19世紀末のロンドン。ジキル博士(片岡愛之助)が開発した新薬は、人間を善悪二つの人格に分ける画期的な薬--それを飲んだジキル博士は、別人格のハイド氏に変身する、はずだった。だが、新薬開発にみごとに失敗したジキル博士は名声と実験補助金を失うことを恐れ、翌日の医師学会発表で行う公開実験を「二人の人間による入れ替わり芝居」で乗り切ろうとし、売れない役者ヴィクター(藤井隆)を雇う。助手のプール(迫田孝也)に因果を含められ、この珍妙な仕事を引き受けさせられたヴィクターは、薬を飲んだジキルが変身する「悪の人格ハイド」と名乗り、ハチャメチャな振る舞いをして実験見学者を納得させるという芝居をジキルと二人で練習している。そこに、ジキルの婚約者イヴ・ダンヴァーズ(優香)が現れるが、ちょっとしたハプニングで、ジキルが変身した(と思い込んでいる)ハイドの人格に惚れてしまったから、さあ大変…?!
≪感想など≫
『ジキル博士とハイド氏』をベースにした三谷さんのオリジナル脚本(喜劇)、全1幕で1時間45分。原作との共通点は善悪の人格を切り離す薬を開発しようと試みるジキル博士が、それに失敗する-- というだけです。(笑)後は 完 全 に 別 物!
セット転換なし、地下実験室を模してガラス瓶やフラスコが一面に飾られたL字型の壁と、階段、玄関ドアと隣の部屋へのドア、天井(BGM用の生バンドがいます)…密室劇の三谷作品っぽいしつらえです。
基本的に「入れ替わる2つの人格(正確には別人)」に振り回される令嬢イヴと、芝居の引っ込みがつかなくなっていくジキルそしてハイド、傍から冷静に状況を見ながら絶妙のツッコミをする助手プール、が繰り広げるドタバタ喜劇。衒学的でやたら長い台詞回し、「くどい」までの畳み掛け、ラストのひっくり返しまで、だいたい三谷芝居お得意のパターンは全て踏襲していました。客席もほぼ満席で、結構笑いが起きていましたので、喜劇としてはきっと面白かったのでしょう。
ただ…この、たった4人で繰り広げられる舞台、個々の役者さんの熱演奮闘ぶりは本当に!素晴らしかった!のですが、基礎となるシナリオ--これも三谷さんの脚本で好んで使われる「誰にとっても人生は一幕の芝居」とでもいうようなモチーフだったと思うのですが、これが私にはちょっとあざといといいますか、しっくり来ませんでした。誰の人生にも起きうる、どうしても「演じなくてはいけない状況」を取り上げている割には、笑いの狙い方がちょっと「小バカにしたような」ニュアンスがあったような…まあ、それはそれでアリですけれど、「TVのバラエティーやお笑い番組的な」空気感で、それが苦手な私には「そこまでやらなくても…」と同情してしまう部分が、ジキルにもヴィクター、そしてイヴに対しても感じたのです。
片岡愛之助さん演じるジキル博士の、生真面目で頭は良いのに肝心な所がちょっと抜けているキャラも、そこまで笑いのネタにしなくっても良いのに…(^^;と思わずにはいられませんでした。観終わってから「あれは何を狙ってたんだろう?」と呟いて、友人に「三谷さんは愛之助さんを使ってコメディがやりたかったらしいよ」と教えてもらったものの、「う~ん…勿体ないなあ…」別に終盤のネタも「愛之助さんに金融庁の黒崎検査官@半沢直樹、のモノマネをさせたかったわけでは無かろうに」と何とも微妙なスベリ感が心の中でモヤモヤ。
そう!このスベリ感!多分「イマイチ」と思ってしまったのは、そこが理由かもしれません。あともう一つ、誤解を恐れず挙げるとするならば、「作者が作りたいものを作るのは当たり前ですが、その作者が一番満足してませんか?」という疑問。「こんなに面白いもん作って見せてやったぞ、ドヤ!」的な押しつけがましさ(すみません!)が、ちょっと私の反骨精神(笑)を刺激したかもしれません。
しかし愛之助さんの「顔面表情筋肉の使い方」と、挙措の洗練度合い、そしてお芝居とセリフの激流の中で「一瞬の止め絵」になってオーバーに感情を表現するテクニックは、惚れ惚れするような見事さでした。流石、歌舞伎役者!次回はぜひ歌舞伎座にて再会いたしたく存じまする♪(^-^)
ちなみにこの作品、4月10~30日まで池袋の東京芸術劇場で上演していて、5月4日~18日までが銀河劇場、5月22日~25日は梅田芸術劇場公演と、東京公演の最後に近い日程です。三谷さんの脚本で現代劇の舞台に立たれる愛之助さん観たさ…というライトな理由で、ちょっと出かけてみる気になりました。基本的に舞台はこういう「出来心」で観に行くことも多いのですよ(^^;
≪公式HP≫
http://www.gingeki.jp/performance/index.php?date=201405
≪キャスト≫ 敬称略
ジキル博士:片岡愛之助
ハイド(=ヴィクター):藤井隆
イヴ(ジキルの師で医学界の重鎮ダンヴァーズ博士の娘、ジキルの婚約者):優香
プール(=ジキルの助手):迫田孝也
≪あらすじ≫
舞台は19世紀末のロンドン。ジキル博士(片岡愛之助)が開発した新薬は、人間を善悪二つの人格に分ける画期的な薬--それを飲んだジキル博士は、別人格のハイド氏に変身する、はずだった。だが、新薬開発にみごとに失敗したジキル博士は名声と実験補助金を失うことを恐れ、翌日の医師学会発表で行う公開実験を「二人の人間による入れ替わり芝居」で乗り切ろうとし、売れない役者ヴィクター(藤井隆)を雇う。助手のプール(迫田孝也)に因果を含められ、この珍妙な仕事を引き受けさせられたヴィクターは、薬を飲んだジキルが変身する「悪の人格ハイド」と名乗り、ハチャメチャな振る舞いをして実験見学者を納得させるという芝居をジキルと二人で練習している。そこに、ジキルの婚約者イヴ・ダンヴァーズ(優香)が現れるが、ちょっとしたハプニングで、ジキルが変身した(と思い込んでいる)ハイドの人格に惚れてしまったから、さあ大変…?!
≪感想など≫
『ジキル博士とハイド氏』をベースにした三谷さんのオリジナル脚本(喜劇)、全1幕で1時間45分。原作との共通点は善悪の人格を切り離す薬を開発しようと試みるジキル博士が、それに失敗する-- というだけです。(笑)後は 完 全 に 別 物!
セット転換なし、地下実験室を模してガラス瓶やフラスコが一面に飾られたL字型の壁と、階段、玄関ドアと隣の部屋へのドア、天井(BGM用の生バンドがいます)…密室劇の三谷作品っぽいしつらえです。
基本的に「入れ替わる2つの人格(正確には別人)」に振り回される令嬢イヴと、芝居の引っ込みがつかなくなっていくジキルそしてハイド、傍から冷静に状況を見ながら絶妙のツッコミをする助手プール、が繰り広げるドタバタ喜劇。衒学的でやたら長い台詞回し、「くどい」までの畳み掛け、ラストのひっくり返しまで、だいたい三谷芝居お得意のパターンは全て踏襲していました。客席もほぼ満席で、結構笑いが起きていましたので、喜劇としてはきっと面白かったのでしょう。
ただ…この、たった4人で繰り広げられる舞台、個々の役者さんの熱演奮闘ぶりは本当に!素晴らしかった!のですが、基礎となるシナリオ--これも三谷さんの脚本で好んで使われる「誰にとっても人生は一幕の芝居」とでもいうようなモチーフだったと思うのですが、これが私にはちょっとあざといといいますか、しっくり来ませんでした。誰の人生にも起きうる、どうしても「演じなくてはいけない状況」を取り上げている割には、笑いの狙い方がちょっと「小バカにしたような」ニュアンスがあったような…まあ、それはそれでアリですけれど、「TVのバラエティーやお笑い番組的な」空気感で、それが苦手な私には「そこまでやらなくても…」と同情してしまう部分が、ジキルにもヴィクター、そしてイヴに対しても感じたのです。
片岡愛之助さん演じるジキル博士の、生真面目で頭は良いのに肝心な所がちょっと抜けているキャラも、そこまで笑いのネタにしなくっても良いのに…(^^;と思わずにはいられませんでした。観終わってから「あれは何を狙ってたんだろう?」と呟いて、友人に「三谷さんは愛之助さんを使ってコメディがやりたかったらしいよ」と教えてもらったものの、「う~ん…勿体ないなあ…」別に終盤のネタも「愛之助さんに金融庁の黒崎検査官@半沢直樹、のモノマネをさせたかったわけでは無かろうに」と何とも微妙なスベリ感が心の中でモヤモヤ。
そう!このスベリ感!多分「イマイチ」と思ってしまったのは、そこが理由かもしれません。あともう一つ、誤解を恐れず挙げるとするならば、「作者が作りたいものを作るのは当たり前ですが、その作者が一番満足してませんか?」という疑問。「こんなに面白いもん作って見せてやったぞ、ドヤ!」的な押しつけがましさ(すみません!)が、ちょっと私の反骨精神(笑)を刺激したかもしれません。
しかし愛之助さんの「顔面表情筋肉の使い方」と、挙措の洗練度合い、そしてお芝居とセリフの激流の中で「一瞬の止め絵」になってオーバーに感情を表現するテクニックは、惚れ惚れするような見事さでした。流石、歌舞伎役者!次回はぜひ歌舞伎座にて再会いたしたく存じまする♪(^-^)