派遣法と2018年問題は、問題意識のある識者による提起がいくつかネットで公開されていますので、詳細はネット検索されてそちらをご参照ください。それらはどちらかといえば、改正法の要点や5年超の無期転換をからめた解説、そして派遣元に重心をおいての記述です。
ここには、逆に受け入れ(派遣先)企業のとるべき対応を、メモ程度に書き置きします。書きかけ試行錯誤しますので、ご指摘あればなんなりと。
まず、派遣先台帳・契約書の綴りから受け入れ派遣社員のデータベースを作ります。事業所ごとに必要です。派遣先責任者は、他の事業所の派遣先責任者を兼ねられません。本社で一元管理をしても、事業所の長の受け入れ態勢の整備はかかせないでしょう。なお、受け入れ派遣社員を含め5名以下の事業所は派遣先責任者の設置を免れますので、直近上位の授業所派遣先責任者をあてるといいでしょう。
- 派遣元名
- 派遣契約年月日
- 事業所名
- 部課名
- 派遣者名
- 派遣開始日
- 派遣終了日
- 早期に終了したならその日
1の契約でも入れ替わりにあるいは同時に何人でも送り込まれてくるなら、その人員ごとに必要です。契約日も平成27年9月29日以前ですと、旧法の適用となります。旧法の抵触日は、事業所ごとに派遣先が認識していなければならないので、別作業となります。ただ、旧法の抵触日と、新法の派遣開始は接続しませんので、旧法の要求事項に対応すればよく、勘案不要です(厚労省FAQ第2集参照)。
一方、新法で契約(平成27年9月30日以降契約)した派遣労働者で、派遣開始日から事業所単位の3年が起算されます。対象となる派遣労働者の派遣開始日からの起算となります。ただし次の労働者は対象となりません。詳しくは、上の第2集Q&Aを参照ください。下に記した派遣労働者だけとなった場合、抵触日のある派遣労働者が最後に就業した日から3カ月をこえてのクーリング期間成立したら、事業所単位の抵触日がリセットされます。合間が空かなかったら、当初の抵触日が活きます(あいた合間分抵触日はスライドしない)。
- 派遣元を無期雇用されている派遣労働者
- 60歳以上の派遣労働者
- 派遣先有期の事業で終期が明確な事業に就労する派遣労働者
- 育児介護休業者の代替派遣
- 短時間就業(派遣先の一般労働者の所定日数半数以下でかつ月10日以下業務)
上2つは、期中で変更があれば派遣元から派遣先に変更内容を伝える義務がありますが、履行されたためしがありません。更新して、あるいは年齢到達してはじめて知りえますから、いつ切り替わったか、派遣元に確認が必要です。3年の期間計算に重要です。
個人単位の3年は、派遣元をかわっても、派遣先の就労する組織単位が同一なら通算します。ただ派遣先組織単位を違えれば、引き続き派遣受け入れできますが、次の注意が必要です。
- 事業所単位の3年制限抵触日ひと月以上前に、事業所労働者過半数代表(過半数組織労働組合)を選出しての意見を聞いておく必要がある
- 派遣社員の特定行為をしない(別のセクションにかわってもらうのに、特定目的行為をしてはなりません。派遣元と労働者が別セクションを希望するのであって、それに指名したり介入してはなりません)
事業所単位の派遣期間の延長は、3年以内の期間であれば、長さは自由に設定できます。これにより他の事業所で先に設定した延長期間と揃えるとこが可能です。あくまでも延長のほうであって、最初の3年は法で固定されています。
事業所単位、個人単位の3年制限の違いは、厚労省パンフを参照ください。
抵触日エピソード
事業所単位の抵触日平成33年10月1日と通知しましたら、その日付はありえないと派遣会社営業さんに言われたことがあります。
改正法施行日は平成27年9月30日でした。その日の契約で、翌日スタートした60歳未満有期雇用の派遣さんが複数いまして、その後3年間3カ月のクーリング期間成立することなく、入れ代わり立ち代わり派遣さんが出入りしました。
この最初の3年期間は法定ですので、H27.10.1~H30.9.30が受け入れ可能期間、翌日が抵触日になります。抵触日が近づく1カ月以上前に事業所労働者代表の意見をきいて更新させました。この更新後の受け入れ期間は3年以内の任意の期間を決めることができるので、派遣先は他事業所の抵触日とそろえることが可能です。
この時あらたに3年ちょうど受け入れ期間を延長しましたので、H33.9.30までとしました。翌日が抵触日です。派遣の営業さんは勉強熱心なかただったのでしょうが、改正法施行日を1日おそく勘違いされていたようです。
(2018年1月4日投稿 2021年9月22日編集)