Carpe Diem

シンシナティ大学で都市計画を勉強していた、ある大学院生の物語。現在はマンハッタンで就活。

シリコンバレー最終章

2015-11-11 21:42:48 | daily life
1ヶ月シリコンバレーにいてスタートアップについて学んだことをまとめてみた。

1. 本当に好きなことをやること
自分でビジネスを立ち上げて成功させるには、どんなスタートアップでも少なくても平均5年から7年ほどはかかるという話を投資家から聞いた。ビジネスを成功させるにはマーケットサイズなどの他の要因も大切だけど、自分の嫌いなことを数年も続けるのは苦痛だし、スタートアップの過程は本当に大変なので途中で諦めてしまう可能性が高いのだろう。

2. 強みを活かすこと
スタートアップのマーケットはエンジニアの需要が高いから、安易にエンジニアになろうとしていくら時間をかけても、自分の性格や数学が苦手なことなどを考えると平均以上のエンジニアになれる気がしない。それよりは自分の強みである多少の英語と、多少の異文化を受け入れられる体質と、少しのビジネスの知識を有効に活用できたらと思う。

3. ゴールから始めること
自分のくせで部活でも、受験勉強でも、ボトムアップで物事に取り組んでいた。例えばただ単純に問題集を一冊やれば、勉強時間を増やせばいい大学に合格できると考えていた。そうではなくて受験勉強ならどの大学に入りたいか、その大学の傾向は何か、それに対応するためには自分には何が足りないか、その不足分を補うためにはどこを勉強すればいいか。という逆算の考え方がビジネスでも他のことでも重要なのだろうと思う。

4. 成功する要因を分析すること
前のゴールから始めることに似ているのだけど、スタートアップを始めるのも以前成功したスタートアップや大企業がなぜ成功したのかのビジネスモデルや、成長軌跡、資金調達の方法を分析して自分のスタートアップもそれらに重ね合わせて成功するまでの軌跡を具体的に想像できれば、可能性がぐっと高まるはず。ただ成功しているスタートアップや大企業と同じことをやっても勝算はあまりないので、それらの企業が出来ていないことを見つけてフォーカスして、既存のものよりも10倍性能がいい、または安価なプロダクトを出せるようにすること。

5. チームを信じること
ビジネスを始めて間もないころは創業者がプロダクト開発、資金調達、クライアントの対応、会計処理など多くをやることになるケースが多いけど、利益が出たり、投資を受け始めたら、それぞれの分野で自分より優秀な人を雇って彼ら(彼女ら)に任せること。創業者はまずはプロダクトが実際にクライアントに使ってもらえることに集中すること。

6. 目標までの最短のルートを探すこと
今回色々とスタートアップを訪問したり、起業家の方とお会いする機会があり、彼ら(彼女ら)のポテンシャルの高さに何度も驚かされた。外国の人なのに英語もネィティブ並みで、頭脳も明晰で、プレゼンも上手くてと、すべてのレベルが高い。彼らに対抗するために英語学校に行って、ビジネススクールに行って、プログラマーの学校に行ってと、それぞれを別々にやっていたらいくら時間があっても足りる気がしない。英語も上達できて、ビジネスも学べて、プログラミングの基礎も理解できるようにいくつかのことを同時にやらないといけないことに気づいた。

7. 成功する可能性の高い勝負をすること
大学院時代の友達とヨセミテ国立公園に行く機会があり、その途中で1850年代のカリフォルニアで起こったゴールドラッシュの時にできた集落を見つけた。最初はカリフォルニア周辺の住民から始まった金の採集は、アメリカ全土に広がり、そして数年後には世界各地から金を求めて多くの人々がカリフォルニアに押し寄せた。僕が簡単に調べた限りだと金は最初のカリフィルニア周辺の住民や、アメリカ人がほとんど取り尽くしたため、各国からきた人は金を採集できず戻って行ったらしい。ただその金の採掘者にジーンズを売ってたリーバイスは大儲けをしたという話がある。実際に今起こっている テックブームは、ゴールドラッシュに近いような気がする。すでに幾つかのソーシャルネットワークやアプリが全体の利益のほとんどを占めているため、新しく同じようなものを作ってもなかなか儲からないのではないかと思う。視点を変えて、リーバイスのように上手くいくビジネスを探したい。

8. 現実を受け入れること
アメリカの有名なインキュベーターのひとつに500 startupsというのがある。運勢し始めて確か5年ほどとなるが、そこの卒業生が成功したのは(ここでは簡単にIPOとM&Aといことにすると)4%ほどという統計があった。彼ら(彼女ら)はとても優秀な人材の上に、最高のメンターがついても4%ほどしか成功しないと考えると、一般的なスタートアップが成功する確率は1%未満なのではないかと思う。スタートアップをする時にただの楽観主義ではなくて、しっかり現実も受け入れたいと思う。

9. ゴールまでの過程を楽しむこと
スタートアップでは色々な課題が出てきて、毎日それらを解決するのに必死な日々が続くだろうし、設立して間もない時には1週間で100時間ほど働くことも出てくると思う。全然楽でないし、苦しい時もたくさんあるだろうし、それでも成功の保証はない真っ暗なトンネルをずっと走り続けなければいけない不安もあると思う。ただその一瞬、一瞬のゴールに向かって行く途中の嬉しいことやワクワクする瞬間をしっかりと楽しみたいと思う。

10. 周りの人たちを大切にすること
今回の1ヶ月の滞在では大学院時代の友達や、新しくできた友達、またスタートアップの創業者の方から心温まるサポートを受けた。特に印象に残ったのはツィッターの本社の見学でツイッターのロゴのついたカップケーキや、コーヒーや、お土産のステッカーなどをもらったりした。また500 startupsのプログラムに入っている友達が施設を快く見学させてくれた。一番印象に残ったのは友達に誘われていったレストランで誰かもわからずに話していた人がdockerという$180millionを投資家から投資を得た本人だと知った時は、全く偉そうなところがない人柄に驚いた。他にも色々とサポートなども受けたけど、状況が厳しい時もあるけど、いつでも周りの人を気遣える人になれたらと思う。




Airbnbで泊まっていたMountain Viewのシェアハウスからの眺め