参議院選挙結果が出てすぐの自治体選挙、しかも、首都における首長選挙ということで非常に大きな政治的意味がある選挙です。参議院選挙では安倍、山口自公政権がデマ宣伝と憲法改悪隠しを徹底したこと、選挙制度の欠陥を利用して過半数の議席をかすめ取りました。だからと言って、国民が憲法改正、消費税率の引き上げ、TPP協定批准、原発の再稼働を認めたわけではありません。安倍が息をつくようにうそをつくと人物だとしたら、改憲発議、戦争できる国づくりの総仕上げを国会の場で行うことは目に見えています。そのことは自治体といえども、選挙の争点です。改憲の先導役、戦争できる国づくりの先導役、安倍政治の同じ穴の狢を選択し、許して良いのかが問われているのだと思います。
憲法を擁護するのか、改憲を目指すかは国政の問題であり、争点ではないとする神奈川県知事発言、安倍政権幹部らの発言がります。憲法は権力者を縛るものであり、政治そのものであり、あらゆる政治、民主主義の土台となるものです。自治体選挙で改憲の是非を議論、争点とすることは重要なことです。
安倍、自民党政権、石原、猪瀬、舛添と続いた政治とカネ、政治資金問題、公私混同に終止符を打つこと。これら3人に共通することは税金を「私物化」しても構わないとする政治感覚、自民党型政治思想です。したがって、自民党、公明党が推薦する候補者は必ずそのような欠点を抱えていることを認識すべきです。
<東京新聞社説>都知事選 試される選ぶ側の眼力
舛添要一氏の辞職に伴う東京都知事選がきのう告示された。人気投票に流されることなく、今度こそ、都政のかじ取りを委ねられる本物のリーダーを選ばねばならない。試されるのは都民の眼力だ。
首都の顔選びは、この五年余りで四度目となる。石原慎太郎氏をはじめ、任期途中での降板が三代も続いたからだ。知事の任期は本来四年。異常極まりない事態に終止符を打たねばならない。
猪瀬直樹氏と舛添氏は、政治とカネの問題で信頼を失い、都政を混乱させた。あらためていう。真剣、誠実、清廉潔白はリーダーの必須条件である。
立候補したのは、ジャーナリストの鳥越俊太郎(76)、前岩手県知事で元総務相の増田寛也(64)、自民党の前衆院議員で元防衛相の小池百合子(64)の三氏ら二十一人。
政党支援の枠組みをみると、民進、共産、社民、生活は鳥越氏を、自民、公明などは増田氏を推す。参院選一人区とほぼ同じ与野党対決の構図が持ち込まれ、安倍政権の是非も同時に問われよう。
自民の援軍を欠く小池氏は、かえって組織の束縛から逃れ、フリーハンドを得たといえるかもしれない。野党票の集約を狙い、元日弁連会長の宇都宮健児氏が出馬を辞退した経緯と併せ、政党主導の論理への疑問もかき立てよう。
衆参両院では、憲法改正発議に必要な三分の二の議席を改憲勢力が握るに至った。緊迫する国会情勢を遠景にみての首都決戦だ。
首都の顔にふさわしい資質や能力を、候補者が持ち合わせているかどうかは、公党の折り紙付きかどうかや知名度とは無関係だ。歴代知事から学んだ教訓である。
スウェーデンの国家予算に匹敵する十三兆円規模の予算。十六万六千人に上る職員。千三百六十万人の都民の命と暮らしを守るために、それらを切り盛りする責任の重大さは並大抵ではない。
東京には大きく生活都市、経済都市、国際都市の三つの顔があろう。優先順位をどうつけるのか。
高齢者の介護や医療の仕組みを見直さねばならない。約二十年後、都民の三人に一人は六十五歳以上になる。保育所に入れない待機児童の解消や、貧困と格差の是正も待ったなしである。
東京は日本経済の心臓部である半面、一極集中が少子化や地方の疲弊を招いている。その視点からも、負の遺産を残さない五輪・パラリンピックが求められる。
トップ退場の愚を繰り返さない。それは都民の責任でもある。