自民党は、参議院選挙で公明党を入れて過半数の議席を掠め取り、衆参で絶対多数を確保する戦略をとっています。そのためには、何が何でも今度の参議院選挙で過半数を取りたい。その戦術として、争点隠し、主要政策の抽象的な表現に終始しています。選挙で先例をうけたのだから、何でも出来ると考えていることがよく分かります。その点では、自民党の体質、本質がよく現れた選挙公約ということが出来ると思います。
前回の衆議院議員選挙で「制約なきTPP反対」⇒政権に就くや「経済成長のためにはTPP交渉に参加」。消費税率引き上げは、「経済状況によるとして態度を明確にせず」⇒政権につくと「景気回復が進行しているので税率を引き上げる」などなど、衆議院選挙であいまいにした主要政策を、選挙後、政権に就くや反故にして大手企業、経団連の要求を丸呑みした政権運営を強引に進めています。しかも、そのようなことを政治の舞台で常時、強権的に行えるように現行憲法の改悪を提起し、公明党、維新の会、民主党一部議員を巻き込む形で、進めようとしています。彼らの本質、狙いがはっきりしています。
しかし、公式に出てくる参議院選挙公約、安倍の発言などは争点をぼかす、あいまいする、自らの本音を語らない。などなどの姑息なやり方に終始しています。このような不誠実な選挙公約で選挙民をだまし、議席を掠め取ることを許してはならないと思います。
昨日は、関西電力高浜原発にモックス燃料(プルトニウムとウランの混合燃料)が大量に運び込まれました。警察の護衛までついてです。このことは、安倍、自民党政権が、モックス燃料を使用する高浜原発を再稼動させることを(事前に)了解していなければ出来ない輸送、企業行動です。福島第一原発の事故調査報告書の審議をやらず、事故原因が何であったかを一切問わず、ウランよりもさらに危険なモックス燃料を使用する原発の再稼動を許す政治姿勢は国民を愚弄する何者でもありません。
<北海道新聞社説>
これでは有権者に白紙委任を迫るようなものだ。
自民党の参院選公約のことだ。経済再生や農業の活性化策などをちりばめたが、どう実現するのか具体的な方法論がほとんど書かれていない。
賛否が分かれるテーマで、論点をぼかしたり、公約に載せなかったものもある。これでは選挙後にどのような政治を目指すのか判断できない。政権与党としての責任を欠いている。選挙戦の中で中身を明らかにし、謙虚に国民の審判を仰ぐべきだ。
経済に重心を置いたのだろう。法人税の大胆な引き下げ、就労支援策の充実、社会インフラ整備などの「国土強靱(きょうじん)化」などが並んでいる。これらは単なる目標だ。達成までの道筋を論理立てて説明していない。
財政のビジョンも不明だ。「経済再生が財政健全化を促し、財政健全化の進展が経済再生の一段の進展に寄与する姿を目指す」という。要するに、成長が実現すれば何とかなるという発想なのである。
安倍晋三首相は公約の冒頭で「デフレから脱却し、経済を成長させ、家計が潤うためにはこの道しかない」と訴える。何が根拠なのか。経済に限らず、数値目標を避ける傾向が強い。「推進します」「目指します」「検討を進めます」という表現が目立つ。
これでは後になって約束が果たせたのか判断できない。目標をできるだけ具体化し、検証を可能にする近年の「マニフェスト選挙」の流れに逆行する。一党支配のころの古い自民党に先祖返りしたかのようだ。
首相は憲法改正の発議要件を定めた憲法96条を先行して変更すると主張したが公約では不明確だ。慎重姿勢の公明党に配慮したのだろうが、「争点隠し」を疑わざるを得ない。消費税増税の実施の是非についても判断を避けた。国民に痛みが伴う政策で態度をあいまいにする姿勢は政権与党としてふさわしくない。
環太平洋連携協定(TPP)は、慎重論から推進論に転じている。「守るべきは守り、攻めるべきは攻めることで、国益にかなう最善の道を追求する」というが、意味不明だ。
沖縄の米軍普天間飛行場は名護市辺野古への移設を明記したが、沖縄県連は県外移設を主張する。原発は再稼働に転換したが、福島県連は反発している。党本部と地方組織で公約を使い分けることは慎むべきだ。
自民党は公明党とともに参院で過半数を獲得し、衆参両院の主導権確保を狙う。そうなれば法律や予算を思い通りに通すことも可能だ。本音を隠して選挙をやり過ごそうとするなら有権者を甘く見ている。