ヴィジュアル系の歴史を考える上で欠かせないのが、20世紀末のヴィジュアル系暗黒期だ。
98年頃、ちょうど今から10年前、「ヴィジュアル系」は空前のブームと化し、圧倒的な支持を得ると共に、その後、本当の危機的状況に置かれることになった。面白いもので、ブームが起こることで、一気にクールダウンしてしまうのだ。ラルクのメンバーが、NHKの番組でヴィジュアル系バンドと称されて、演奏を辞退し、演奏しなかったことはあまりにも有名である。
ヴィジュアル系の末期症状ともいえる時期に、いったいどんなバンドがいたのだろうか。バンドの良し悪しは問わず、どんなバンドが「時代」の波に打たれ、厳しい時代を生きたのだろうか。
思い当たるバンドを列挙してみよう。
98年末期~00年頃のヴィジュアル系暗黒期に活動していたバンド
Fanatic crisis 僕はこのバンドが大好きだった。本当に素敵なバンドだった。
La'cryma Christi 初期と後期の変化がすごかった。技術も高かった。
SHAZNA 超初期は大ファンだったな。デモテープ時代・・・
ROUAGE LIVEも結構行ったなぁ。Kaikiさんが大好きだった♪
Transtic Nerve 時代が違えばブレイクしていたんだろうな、と。センス絶大!
Maschera 問答無用で大好きだった。今も大好き。ずっと大好き。
D-SHADE ブレイクアウト組。crazeに似ているという評判が強かった。
Pierrot インディーズの一番最初、LUNA SEAかと思った(汗)
MALICE MIZER このバンド自体はかなり古いので、ここに入れるべきでないが・・・
LAREINE マリスに似ているバンドという印象が強すぎた!?
SOPHIA 初期はバリバリV系。けれど、後に音楽の方向性が不安定に!?
Raphael このバンドはちょっと別格。というか、変わりすぎててコメント不可。
BAISER SHAZNAの二番手という印象があった。歌唱力に難があった!?
S すごい勢いのあるバンドだったけど・・・
JILS この時代に入れるのはどうかと思うけど、この時期に活動していたので。
ILLUMINA ポップで切なくて、、、 いいバンドだったけど、、、
Neil 雰囲気はネオ・V系に近かったかも。
JURASSIC バンドの演奏力は高かった。
PHOBIA 結構「V系」のど真ん中を狙っていたような・・・
MELODY アイドルヴィジュアル系?!
Pleur 聴きやすいサウンドと当時らしいルックス。
Ray 実はこのバンドはお気に入りだったなぁ。
LUCA ブレイクアウト組だったような・・・
CLOSE いいものをもっていたけど、地味だった。
La'Mule ラムールといえば血と赤・・・
e.mu これもブレイクアウト組。。。
shame あんまり聴いたことがなかった・・・
ENDLESS 80年代初期のV系というかビートロック風というか・・・
BLue-B アイドルヴィジュアル!?
BLUE コンセプトや雰囲気はとてもよかった!
Aliene Ma'riage 怖そうな感じ。演奏力に難あり!?
El'iphas Levi 結構かっこよかったけど、やっぱり地味な感じが・・・
Noir fleurir 聴いてない・・・
All I Need 結構はじけたバンドだった。時代が違えば・・・
LAID イケメンが揃っていた、っていうイメージ。
と、思うままに挙げてみた。
気づくのは、上のすべてのバンドが英語表記になっている。21世紀型のネオ・ヴィジュアル系時代の幕開けの名にふさわしいカリガリ、ムック、メリーらのニューウェイブ系ヴィジュアルバンド誕生前夜を感じさせる。特にデランジェ以降に定番となる英語以外の欧米語バンドはその後ばったりとなくなることになる。
最近では、欧州語のみならず、英語にすらない造語的なバンドがスタンダードとなりつつある。宇宙戦隊NOIZ、新興宗教楽団NoGoDのようなすごいバンド名のバンドも登場しつつある。
20世紀末期のバンドは、とても厳しい時代を生きたと思う。だが、彼らがいたからこそ、次の世代が生まれたといってもいいだろう。~98年を光の時代とするならば、この暗黒期はいわば影の時代であった。しかし、影の時代を経て、ヴィジュアル系は見事に生き残ることができた。今後、98年頃の大ブームが来ることはきわめて難しいと思うが、日本を代表する音楽ジャンルとしてしっかり次世代に引き継がれたことは誇るべきことだと僕は思う。
X JAPAN、LUNA SEA、黒夢、ラルク、GLAYなど、メガヒットをとばしたバンドもすごいとは思う。けれど、その背後には数え切れないほどのバンドマンがいて、その数え切れないバンドマンたちの力があって、次世代にバトンが引き渡されたのだ。「ヴィジュアル系」は、メガヒットバンドによって作られたものではなく、たくさんの人々の手によって育てられてきた音楽カテゴリーなのである。そのことは決して忘れてはならないことだと思う。