Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

「個性とは概念の複合体であり、自己と世界の関係性である」

昨日、講義で【個性】について若干話した。その話が意外と好評だった。

個性って何だろう?

*広辞苑では「個人に具わり、その個人を他の個人と異ならせる特徴」が個性だとされている。英語のindividualityは、オックスフォードの辞書では、「・・・個体として存在する事実またはそうした状況。個体に独特な特徴の集まり、同種内の他者から区別させる同属の総体・・・」とされている。

よく教育界でも、「個性を大切に」、「個を重んじる授業」、「個を育てる教師」という感じで、個性が頻繁に使われている。(教育学ではなく)巷の教育論では、個性を論じるのが大好きである。個性を尊重しないことは悪かのように描かれている。

僕ももちろん「子どもの個性」を大切にしたいという素朴な感覚はもっている。が、個性とは何かと聞かれると困ってしまう。

だけど、ブログをやっていて個性が何なのかの一つのヒントを得たような気がしたのだ。(ブログはその人を言語で表しているものであり、書かれたものでありながら、その人が見事に反映されているのである。書き手の見えないメディアではなく、むしろ書き手そのものであるようなメディアなのである)

それは、もろもろの言葉(=概念)が個性を作り出すということだ。

試しに、googleで、「ヴィジュアル系」、「ドイツ」、「研究」の三文字を入力して検索すると、僕のブログがトップにくる。「板谷祐」と「教育」でもトップにくる。「ドイツ」、「ラーメン」、「レポ」でもトップにくる。「板谷祐」と「ラーメン」でもトップにくる。「千葉」、「ラーメン」、「ヴィジュアル系」でもトップにくる。「千葉ロッテ」、「ラーメン」、「ドイツ」でもトップにくる(千葉ロッテとドイツだけだとダメ)。「赤ちゃんポスト」と「ヴィジュアル系」でも、「赤ちゃんポスト」と「福祉」と「研究」でもトップにくる。

ただ「ドイツ」だけ、ただ「ラーメン」だけ、ただ「ヴィジュアル系」だけを入力してもダメ。全く関連のない言葉を二つ、三つ入れると、Keiという人間そのものであるこのブログが検索されるのである。

僕の個性は、まさに「ヴィジュアル系」、「板谷祐」、「ドイツ」、「教育」、「福祉」、「ラーメン」、「ロッテ」、「ボランティア」、「赤ちゃんポスト」などなど、様々な概念の複合体として示されるのである。たしかにこの諸概念はみんな僕が力を注いでいるものであるし、これらを並べてみると、「Keiだなぁ」と思うし、また僕と親しい人なら誰でも僕を思い浮かべてくれるだろう。

そうやって考えてみると、人間の個性とは、「その人にかかわる様々な言葉の複合体」、と定義づけられるかもしれない。自分を示す(示しそうな)言葉を3,4個並べてみたらどうだろうか。2つでは厳しいと思う。5つ並べたら、もうきっとその人ならではの複合体になっているのではないだろうか。その数が多ければ多いほど、より複雑な単体となり、複雑な味わいとなり、魅力となる、、、のかもしれないし、あまり多いとどんな人間なのか分かりにくくなるのかもしれない。

僕は僕の個性のことしか語れないので、僕を使って書いてみよう。ラーメン好きの人はこの日本には相当数いる。ヴィジュアル系好きもかなりの人数がいる。ロッテファン(プロ野球ファン)はとんでもない数になる。ドイツやドイツ語に興味がある人もたくさんいる。教育や福祉に興味のある人もかなりいる。教師の数は100万以上とも言われているのだから。だけど、これら全部が好きな人となると、kei以外にはそうそういないし、いたとしても数人程度だろう。またその人たちがすべて同じように興味があるかと言えば、それはないだろう。上に挙げた言語そのものにもいろんな下部構造があるからだ。ロッテといったとき僕は福浦選手をすぐに思い浮かべるし、ヴィジュアル系といったってその中でまた趣味嗜好は様々ある。

是非、自分を表す言葉を4,5個探してみてはどうだろうか。そして、それを友だちや家族に見せてみてはどうだろうか。それが個性になっているのではないだろうか。

*例えばyoshikiだったら、ピアノ、ドラム、ロック、美学といった言葉が思い浮かぶ。あ、逆に考えてもいいかもしれない。幾つかの言葉を並べて、それが誰を示しているかを言い当てるというクイズをやっても面白いかもしれない。

逆に、「個性がない」というのは、そういう言葉を並べられない人っていうことになるんじゃないだろうか。何にも興味もなく、何にもこだわりもなく、何の関心もない。何の話題にもひらめかない。語れない。どうでもいい。そういう人はその人を示す言語がない。そういう人こそ、「個性がない」と言われるのではないだろうか。人間の内面的な個性というのは、僕はなかなか腑に落ちないのだ。個性は自分自身と外部の関係性のことを言っているように思うのだが・・・ 

*ある学生は、「Backstreet boys」と「砂肝」と「スポーツ(汗をかくこと)」、という三つの言葉を並べてくれた。Backstreet boysが好きな人で砂肝が好きな人ってかなり限定されるぞ。さらにその中でスポーツが好きな人はさらに減る。具体的にどんなスポーツが好きか書いてくれればかなり限定されるんじゃないかな。

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