今日、すごい記事が出ていた。
教員にもFA制、教育再生会議が素案
11月13日9時7分配信 読売新聞政府の教育再生会議(首相の諮問機関、野依良治座長)が、特色ある小中学校づくりに向けた校長の権限強化策の素案が12日、分かった。
校長の学校運営方針に基づき、教員を公募し配置できる「公募制」導入を盛り込んだのが特徴だ。教員の側から自分の得意分野をアピールし希望校へ転勤できるようにする「フリーエージェント(FA)制」も導入し、魅力ある学校づくりを進める校長の下に意欲ある教員が集まる仕組みとする。
素案は、13日に首相官邸で開く合同分科会で提示される。年末にも取りまとめる同会議の第3次報告に盛り込む見通しだ。素案はこのほか、校長の発案に基づき、一定の裁量で使える予算を配分するほか、校長の1校当たりの在職期間(現在は2~3年程度)を最短5年程度に延長することも記している。
これにはビビッた。何がビビッたって、公共事業であり、公共の福祉のためにやっている公教育で、FA制(フリーエージェント)をやるっていうことに一番驚いた。(プロ野球ファンとして、FA制は結構なじみがあるので、これを教育でやるっていうことがどれだけびっくりなことかはすぐに分かった)
魅力ある学校づくり自体は大いに素晴らしいし、校長がそれぞれの学校で特色のあるカリキュラム/学校づくりができるっていうのも素晴らしいと思う(この点だけを見れば斉藤喜博も喜ぶだろう)。
ただ、こんなことをしちゃうと教育の矛盾が一気に出てきてしまうのではないか?!FA制って、基本的に給料に直結する。プロ野球の場合、FA宣言することで、その人がどれくらいの価値があるのかが分かる。評価されるから。でも、その場合、高く評価されれば高額の年俸が約束される。勝負の世界では莫大なお金が動く。教師がもしFAを宣言したら、給料はどうなるのか。「すごい先生」ってことで、年収が1億とかいってしまうのか(そりゃないだろうけど)。
でも、教師の場合、いくらFA宣言しても、給料の差は生じにくいし、生じてしまえば、公教育の根幹が揺さぶられることになる。僕個人はそれほど「公教育」の平等性を重んじてはいないのでそれでいいのだが、それだと文部省や公教育擁護論者とかも困るのではないか?と思うのだが。。。極論を言えば、学校の民営化っていう話につながってくるのでは?!(郵便局の次は学校の民営化?!)
でも、民営化っていったって、国の縛りのつよい学校法人化される程度だろう。自由競争ってわけにはいかなそう。大学を見ていると分かるけど、下克上が極めて難しいのだ。東大や早稲田や慶應という「オーソリティー」は今後もずっと続くのだろう。他の大学が東大を凌駕する日が来るのだろうか。依然として旧帝大はとても強い。高校などでは私立が強いし、有名予備校なんかはすべて民間。だけど、その魅力って「いい大学に入れる」ということであり、「受験に強い先生がそろっている」という条件が満たされている、ということに過ぎない。
「人間として、教師として端的に素晴らしい先生」がきちんと評価されればいいけど、このFA制を導入することで、「受験に強い先生」だけが評価されることになったとしたら・・・ すごいことが起こるだろうな。
*教育の場合、ラーメン屋と違って、「そこの味」で評価されない。別の目的が考慮されるのだ。中学、高校、大学、いずれも「いい進学先、いい進路先」という別の目的で評価されるのだ。「この先生の下で勉強したい」と思う生徒/学生がどれだけいるのだろうか。一部の目の肥えた親や子は「よさ」を見抜いて進学してくるものもいるだろうが、多くの人たちは別の目的で学校を選択しているように思えるのだが・・・
FA制が本当にいい意味で機能したらいいかなと思うけど、この制度によって、学校が受験予備校になってしまったら恐ろしい結末が待っているようにも思える。