現役ホスト８人が集結して出来たグループ【AcQuA EP】をご存知だろうか。
AcQuA EPのメンバーは、Seiji、Makoto, Ichiro, Naoto, Juza, Naoya, Ryu, Tohruの８人。リーダーは、ホストクラブ【AcQuA】のオーナーでもあるSeiji。彼の半生については、ROCK and READ012をお読みいただきたい。なかなか読み応えのある文章になっている。メンバーは皆ロック好きのホストばかりで、X JapanやボウイやGLAYなどを愛好しているメンバーもいる。
このバンド（？！グループだな）、実はかなりバックにすごいメンバーを引き連れている。なんと、あの清春が彼らの重要なサポーターとして動いている。シングルにもなった【Re：dear...】の作曲（歌詞は飯島愛）、【禊～surface～】、【禊～misogi～】の歌詞、【One's precious feeling】の作曲を手がけている。また、シングル【Re：dear】のカップリングで、かの黒夢の名曲【BEAMS】が奏でられているのである。清春の影の影響が見え隠れする。
このAcQuAを是非とも聴いてみたいと思っていたのだが、幸いにも、僕の学生の一人が大のAcQuA EP好きがいて、彼らの音源すべてを貸してくれたのだった。Gさん、誠にありがとう！！
今回ご紹介するのは、彼らのファーストアルバム【Didn't See Us Coming】だ（＊ジャケットの字体がとてつもなくLUNA SEAしている・・・）
ジャケット（上写真）から窺えるように、前ヴィジュアル系・現ヴィジュアル系のテイストをふんだんに盛り込んだ作品に仕上がっている。それもそのはず。ゲストミュージシャンがすごい。BASSは、Hideと一緒に演奏していたChirolyn、キーボードは知る人ぞ知るDieなのだ。５と９のギターはTRANSTIC NERVEのTALなのだ。バックはものすごくゴージャスなのだ。音だけ聴けば、かなり洗練されたV系サウンドを楽しめるはず。
アルバム全体としては、結構暗めなポップ＆ロックといったところ。ちょっといろいろとつめこみすぎのような気もしなくもないが・・・ 歌は・・・７人の男性の歌ということもあって、ジャニーズのような感じに聴こえて仕方ない。どことなくKAT-TUNっぽいかも。あるいは、タッキー＆翼？！ しかし、やはり歌唱力不足は否めないかも。まあ、本職がボーカリストではないので、そこを指摘しても生産的ではないだろう。重要なのは、日本で今最もポピュラーなホストたちが、V系の領域に入り込んできてくれている、ということだ。21世紀に入り、V系はかなり「流行遅れ」となってしまった感があった。「ヴィジュアル系」が一つの差別用語になっている、という指摘もあった（cf.市川哲史）。しかし、そういう世論を飛び越えて、ワールドワイドにV系は成長していった。ロックの一つの文化として生き残ったのだ。そして、再び、V系の時代の余波が生まれつつあるのだ。AcQuA EPはまさにそのことを証明してはいないだろうか。（現在、ロンドンブーツの淳がV系バンドを真剣にやっていることも思い出したい）
とはいえ、AcQuA EP、歌にこだわるV系リスナーにはオススメできないかな。V系のボーカルって、やっぱりいろんな意味での表現力が問われてくる。かっこいいだけのボーカルも、ただ巧いだけのボーカルも、V系の世界では通用しない。V系は、プレイヤーのみならず、ファンもかなりこだわっている。V系ファンの心をつかむためには、ルックスやテクニックだけでは不十分なのである。・・・だが、V系サウンドマニアにはたまらないかも（プレイヤーやサポーターが強力なので）。あるいは、V系寄りのジャニーズファンとか。このAcQuA EP、ホストにして、V系でありながら、ジャニーズっぽい。。。これはホントにすごい事件かもしれない。
かつて、ジャニーズとホストとV系の関係について書いたことがある。よかったら読んでみてください！
