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Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

◆キャバクラ論!◆

久々にキャバクラに行ってきた!

キャバクラは、「キャバレー」と「クラブ」をあわせた造語で、1980年~1990年代に世に広まった。全国に存在する夜のエンターテイメントの代表的なものの一つだ。僕が知る限り、このキャバクラはいわゆる性を売り物にした「風俗」とは異なるものである。

キャバクラは、スナックと高級クラブの中間に位置するものであり、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風適法)」で法的にも認められている接待飲食業だ。簡単に言えば、ホステスさんを話し相手としながら、飲食することを目的とした場所なのだ(*)。法律上で接待とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」、とされており、「もてなし」がキャバクラの根本的な原則概念となっている。

*ちなみに性的な接触や性的行為は禁じられている。性的接触を伴うものは「ピンクサロン」、「ピンクキャバクラ」、「セクシーパブ」といった名称になっている。なぜピンクなのかは不明ー

僕はこのキャバクラにいろんな意味で注目している。

たまに授業や講義でも取り上げるが、キャバクラで働く女性たちには、不登校だった人や学校に行かなかった(進学しなかった)人が実に多い。つまり、学校という場所を拒否/拒絶した人がキャバクラで多く働いているのだ。(おそらく他の性風俗も同じではないか?)

僕の講義の受講生が、「わたしの高校時代の友達で、高校を中退した人が10人くらいいるんですけど、全員キャバクラで働いています」、と教えてくれた。僕自身、かつてからキャバクラにたまに行くが、ほとんど例外なく学校を離脱した女性と出会う。不登校や中退という現象とキャバクラ嬢との間には、かなりの親和性(シンメトリー)があるように思われるのである。

昨日出会ったAさんもそういう感じだった。

Aさんは、偶然にも僕が卒業した通信制の高校に通っていた人で、その通信制の高校も途中で辞めている。まあ、一応僕の後輩だ。Aさんは小学校の時から引きこもりがちで、中学校にもほとんど通わなかったという。結局、全日制高校進学も果たせず、中卒のまま、いろんなバイト業を転々とする。

レストランやショップなど、色々な(学歴を問わない)仕事を渡り歩くが、なかなかうまく行かなかったみたいだ。あるレストランでは、店長に、「お前みたいな女は本当に嫌いだ。辞めてほしい」、と言われたそうだ。けろりと話してくれていたが、きっと深い心の傷を負ったに違いない。「昼」の世界で居場所を見つけられなくなった彼女は、夜の世界に入っていった。

親御さんは福祉関係の仕事をしている。Aさんの話しぶりを見ていても、一応はしっかりと育てられたんだろうな、というのが伝わってくる。彼女は、この夜の仕事を通じて、自分探しをしているようだった。「今は働くことに生きがいを見出しているの。で、働いてお金を貯めて、専門学校に行きたい。でもどうなるか分からないけれど・・・」。

これまで「学校」というシステムの中を生きることができなかったAさんに専門学校のカリキュラムをクリアすることができるかは分からないが、「夢」を忘れているわけではなかった。が、上の店長の言葉からもうかがえるように、ちゃんと「昼」の世界でしっかりやっていけるのかは分からない。夜の世界の厳しさっていうのもあるのは理解できるが、昼の仕事はまた別の厳しさがあり、地味でたんたんとした日常がある。昼の世界では、誰も、「自分が存在していること」だけのためにお金を落としてはくれない。

キャバクラという世界は、不登校の女性/学校をドロップアウトした女性と密接につながっているのではないか。とすると、やはり教育の問題と切っても切り離せないものなのではないか。もちろん教師たちだって、生徒たちが学校から離脱しないようにと奔走している。けれど、子どもたちは学校から逃走するのである。

もちろんキャバクラだって一つの立派な(法的に認められた)仕事である。キャバ嬢を極めて「ママ」に登りつめていくことだって可能である。だけど、僕が見る限り、そういうホステスは限りなく少ない。接客業の基本すらままならない女性が実に多い。タバコに火をつけて、お酒を注ぐだけが「接客」ではないはず。言葉を介して、表情を介して、相手の人と話をするのが彼女たちの接客だ。

Aさんだけに限らないが、学校逃走系のホステスさんたちは、そういう接客への関心は乏しく(あるいはできておらず)、「自分探し」、「昼の世界からの逃避」という要因からこの世界に流れ着いているように思うのだが、どうだろうか。つまり、そこで働きたくて働き始めているのではなく、行き着く先として予め社会の側によって間接的に規定された場所に(あたかも自分自身がその場所を選択したかのような仕方で)向かわされて働き始めているのではないだろうか。

*聴くところのによると、キャバクラのお客さんで一番辛いお客さんは、日常の文句や不満を、そのままホステスにぶつけてくるお客さんだそうだ。そういうお客さんにとっては、ホステスさんは、会社や家庭での日々の文句や不満/不平を吐き出す対象だってことになる。あてつけ?? そういう人はちょっとでも気に入らないことがあると、延々と文句を言い続けるのだそうだ。・・・

コメント一覧

kei
rrrrrさん

コメントありがとうございます。残念でしたか。。。

差しさわりがなければ、どの点において残念だったか教えていただけると幸いです。

教育学にかかわる人間がキャバクラに行くこと自体が残念なのでしょうか? それとも、僕が書いた文章が(無意識的に)キャバクラで働く人に対して負の印象を与えていることが残念なのでしょうか?(もしそうだとしたら、どの点が失礼にあたるか、教えていただきたいです) 

rrrrrさんのコメントは短いながらも色々と考えさせられるコメントでした。ありがとうございます。

元キャバ嬢さん

コメントありがとうございます。元キャバ嬢というお立場からのご感想、しっかりと読ませていただきました。もし不快な気持ちにさせていたら、すみません。ただ、軽い気持ちで書いたものではないので、ご理解いただけたら嬉しいです。

不登校の男性はどうなるか。これはすごく答えるのが難しい質問ですね。「引きこもり」になっていくケースは結構知っています。社会に出ても、なかなか安定した地位に着くことが難しいのかな、というのが僕の率直な感想です。ただ、数的には少ないですけど、大学に進学する人や、専門分野で働いている人もいます(女性でももちろんいますが、、、)元キャバ嬢さんはどうお考えになりますか? 元不登校の男性の行く先は、、、

お客さんに対する印象は人それぞれなんですね。でもやっぱり文句や愚痴はこぼされるんですね。。(カウンセリングっていうか、相談業務ですよね。。)

キャバクラで働く女性は、やはり「同じ席で一緒に居る」ということで、高い報酬をもらうんだと思います。バーテンダーではないですから、お酒をつくるのが仕事ではないでしょう。「一緒にいるだけの価値のある人」っていうか。。。(そういう意味では、子どもに近いのかもしれないですね。。)

貴重なコメント、ありがとうございました!!

また色々とお話聴かせていただけると嬉しいです。

元キャバ嬢
ふぅん
といった感じです。確かに学校は行きませんでした。卒業はさせられましたけども。頼む、留年なんかせずに出て行ってくれと言われて。

ふと疑問、じゃあ男性はどうなのでしょ?どこに居場所を求めるのかしら。



そうそう。

嫌なお客様は一人もいませんでしたよ。皆様、とても可愛く愛しい方ばかりでした。愚痴や文句、結構。それがその方にとって心地よく過ごす方法なら。

存在するだけで価値があるなんて、素敵な考え方ですよね。私、そんなことが可能なのは子供だけだと思ってましたから、考えを改めなければなりませんねぇ。
rrrrr
教育者として残念だ
がっかりした
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