早速、建部の頭イトフは久地達一行が待機している部屋まで出向いてきて、耶須良衣と美美長比古に戦術やエダチの編成について教えを乞うている。
見回すと、あくびをしてる者が多い。
宮殿に使いに行った者が戻るまでしばし時間があるとのことだったので、久地は、他の者たちにしばし休息をとるように指示を出した。
そういう本人も大きなあくびをした。
隣の本宮も大きく伸びをしている。
「眠いな~・・」そう思ったところで意識が無くなった。
どのくらい経ったのか、久地はアカタリに起こされた。
周りを見渡すとまだ寝ころんだままの者もいる。
「久地の尊、起きてくだされ」
「ん、う~ん」久地はハッと我に返った。先ほど振舞われた温かい飲み物か?
器を取る久地に本宮が声をかけた。
「俺は飲んでないぞ!あいにくゆずの匂いは嫌いなんだ」
本宮も目を覚ましていたらしいが、あのゆずの香りがする飲み物は飲んでないらしい。
「久地の尊、こちらに来てから一睡もしてないだけです。下都国と違って、昼とか夜とかが規則正しく決まってません」
「ん、どういう事だ? アカタリ殿」
そこへ飛と龍二も目を覚まして近寄ってきた。
「先生、陽の位置が動かないんです。あのまんまなんです」と言って龍二が上を指をさした。
「確かにそうだな! 丘を越えてくるときも確かにこっちが明るかった」と飛が来た方を指さしている。
「我々は朝に発ってきたんだ。あれからどのくらい経ってる。龍二君」
「位置は不明ですが、時間はまる一日以上は経ってます」龍二がハンディな小型のGPSのようなものを取り出して確認して言った。
「そうか寝てなかっただけか? しばし身体が寝るのを忘れていたという事か」
「久地殿、皆さんたちも宮殿へ行けばこの訳はお分かりになると思います」アカタリが立ち上がりながらそう言った。
「本宮、今の内にイトフ殿にアダシ国についても聞いおいてはどうだろう」
「そうだな、今の事だけでも驚きだ。吾れらが聞いたのはスクナビの神から聞いた話だけだからな。私が聞いてみよう」
「クエビの神は先観の物知りで知恵者だ。クエビの神たちにも一緒に聞いてもらおう」
久地と本宮の二人はクエビの神たちを誘って建部の頭イトフの居る部屋へ行った。イトフは耶須良衣と美美長比古から戦術やエダチの編成について、およその事が既に聴けたようだ。腕組みをしてじっと机の上を見つめていたが、久地達を招き入れてくれた。
「イトフ殿、アダシ国とはどういうところなのでしょうか。吾れらは妖怪の住む寒い国と聞いてきましたが、タニグの神たちが遭遇した者たちの一行はそのような恐ろしげな姿かたちはしてなかったようです」
「さよう、もとはといえばアダシ国のワルサ王は我が国ウマシ国のテルタへ女王の弟君。しかし、先代王の御世が終わるとこのウマシ国を我が物にせんと工作を始めたのです。テルタヘ姫の御世になって、姫を中心に、重臣たちはこの国を妖精の住む平和な国に国造すべく努力を始めたところでした・・」
イトフの話によると・・。
先代王が崩御し姫が即位されたとき、恩赦によって復権した者たちがいた。その中に解き放ってはならない者がいたらしい。どういう訳か闇の者や氷室の者が紛れ込んでしまった。後から思うと、弟のワルサのさしがねだったようだ。それが奇怪な魔物、妖怪の化身がワルサの陰謀に加担した。
ワルサは妖怪と手下たちを伴って霧魔氷山を越えた。我々が麒麟車で一気に駆け上がった丘で観たあの遠方の山だ。当時、かの地は氷河が走る地でだれも住んではいない場所だった。これを幸いとそこに籠った。そこで自分たちの国造りを一方的に進めた。その時点でイトフたちがすぐさま手を出せなかったのは、姫の末弟のツキユミ王が人質として連れさられてしまったからだった。それからこのウマシ国には夜が無くなった。
つづく
偶然、十一社のうちの一社から古き記が発見された。神主の交代により再建が始まり、古の祭文やお告げ文などを整理している中での発見であった。その中に逸書となっていたものが見つかったのである。どうやら、まだ続きが創れそうである。
http://blog.goo.ne.jp/seiguh(バックナンバーはこちらへ)
http://www.hoshi-net.org/
見回すと、あくびをしてる者が多い。
宮殿に使いに行った者が戻るまでしばし時間があるとのことだったので、久地は、他の者たちにしばし休息をとるように指示を出した。
そういう本人も大きなあくびをした。
隣の本宮も大きく伸びをしている。
「眠いな~・・」そう思ったところで意識が無くなった。
どのくらい経ったのか、久地はアカタリに起こされた。
周りを見渡すとまだ寝ころんだままの者もいる。
「久地の尊、起きてくだされ」
「ん、う~ん」久地はハッと我に返った。先ほど振舞われた温かい飲み物か?
器を取る久地に本宮が声をかけた。
「俺は飲んでないぞ!あいにくゆずの匂いは嫌いなんだ」
本宮も目を覚ましていたらしいが、あのゆずの香りがする飲み物は飲んでないらしい。
「久地の尊、こちらに来てから一睡もしてないだけです。下都国と違って、昼とか夜とかが規則正しく決まってません」
「ん、どういう事だ? アカタリ殿」
そこへ飛と龍二も目を覚まして近寄ってきた。
「先生、陽の位置が動かないんです。あのまんまなんです」と言って龍二が上を指をさした。
「確かにそうだな! 丘を越えてくるときも確かにこっちが明るかった」と飛が来た方を指さしている。
「我々は朝に発ってきたんだ。あれからどのくらい経ってる。龍二君」
「位置は不明ですが、時間はまる一日以上は経ってます」龍二がハンディな小型のGPSのようなものを取り出して確認して言った。
「そうか寝てなかっただけか? しばし身体が寝るのを忘れていたという事か」
「久地殿、皆さんたちも宮殿へ行けばこの訳はお分かりになると思います」アカタリが立ち上がりながらそう言った。
「本宮、今の内にイトフ殿にアダシ国についても聞いおいてはどうだろう」
「そうだな、今の事だけでも驚きだ。吾れらが聞いたのはスクナビの神から聞いた話だけだからな。私が聞いてみよう」
「クエビの神は先観の物知りで知恵者だ。クエビの神たちにも一緒に聞いてもらおう」
久地と本宮の二人はクエビの神たちを誘って建部の頭イトフの居る部屋へ行った。イトフは耶須良衣と美美長比古から戦術やエダチの編成について、およその事が既に聴けたようだ。腕組みをしてじっと机の上を見つめていたが、久地達を招き入れてくれた。
「イトフ殿、アダシ国とはどういうところなのでしょうか。吾れらは妖怪の住む寒い国と聞いてきましたが、タニグの神たちが遭遇した者たちの一行はそのような恐ろしげな姿かたちはしてなかったようです」
「さよう、もとはといえばアダシ国のワルサ王は我が国ウマシ国のテルタへ女王の弟君。しかし、先代王の御世が終わるとこのウマシ国を我が物にせんと工作を始めたのです。テルタヘ姫の御世になって、姫を中心に、重臣たちはこの国を妖精の住む平和な国に国造すべく努力を始めたところでした・・」
イトフの話によると・・。
先代王が崩御し姫が即位されたとき、恩赦によって復権した者たちがいた。その中に解き放ってはならない者がいたらしい。どういう訳か闇の者や氷室の者が紛れ込んでしまった。後から思うと、弟のワルサのさしがねだったようだ。それが奇怪な魔物、妖怪の化身がワルサの陰謀に加担した。
ワルサは妖怪と手下たちを伴って霧魔氷山を越えた。我々が麒麟車で一気に駆け上がった丘で観たあの遠方の山だ。当時、かの地は氷河が走る地でだれも住んではいない場所だった。これを幸いとそこに籠った。そこで自分たちの国造りを一方的に進めた。その時点でイトフたちがすぐさま手を出せなかったのは、姫の末弟のツキユミ王が人質として連れさられてしまったからだった。それからこのウマシ国には夜が無くなった。
つづく
偶然、十一社のうちの一社から古き記が発見された。神主の交代により再建が始まり、古の祭文やお告げ文などを整理している中での発見であった。その中に逸書となっていたものが見つかったのである。どうやら、まだ続きが創れそうである。
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