1990年(平成2年)に大東音響(⇒藤興)から登場した3-1号機「ビッグベンハー」
(登場時期)
3号機第1弾「ドリームセブン」(高砂)、ユニバーサル初の3号機「アメリカーナマグナム」に続いて検定を通過(通過日は’90年6月8日)。すなわち、本機は3号機として3番目に認可を受けた古参機種。
但し、ホールへの導入順でみると、アメマグよりもビッグベンハーの方が若干早い。その為、本機を「3号機第2弾」と紹介する当時の資料も、複数存在する。
(ドリームセブンとの関係)
当時の大東音響は高砂と技術提携関係(OEM)を結んでおり、本機とドリームセブンは「兄弟機」の関係にある。
その為、両者のリール配列は「ベル⇒ブドウ」「ブドウ⇒ベル」「リンゴ⇒コイン」「オレンジ⇒メロン」(ドリームセブン⇒ビッグベンハーの順)と置き換えれば、全く同一の配列である。
一方、リーチ目については一部共通するものの、両者のリール制御の違いから、異なる部分も多い(後述)。
「ベンハー」「ゴールドベンハー」に続く、ベンハーシリーズ第3弾の本機。
3号機の為、ベンハーやゴールドベンハーの特色だった「フルーツゲーム」(小役の集中)は非搭載。ビッグとレギュラー中心の、オーソドックスなゲーム性になっていた。
筐体上部のデザインも、「赤い777のロゴ」&「パッパッと光る四角い赤ランプ」という従来のパターンから、「BENHUR」のアルファベットを使った斬新なパネルに変更。兄弟機「ドリームセブン」譲りの派手なデザインは、そのまま3-2号機「マジカルベンハー」に引き継がれた。
また、角ばった「7」のビッグ絵柄には、「BIG」の小さなロゴが配されている。7絵柄と英文字を組み合わせる独特のデザインは、やはり兄弟機「ドリームセブン」を踏襲。2-2号機「スーパーウィンクル」(高砂)からの流れを引き継いでいた。
スーパーウィンクル ドリームセブン ビッグベンハー
(リーチ目)
左と中央は、「ブドウに挟まれた小役揃い」のリーチ目で、ドリームセブンと共通形。但し、それほど出現率が高い目ではない。
一方、右の目は「ズレ目」(非テンパイ目)の一例である。実戦中は、この「ズレ目」でボーナスを察知する事が非常に多かった。
ボーナスフラグが成立して「ズレ目」が出る時は、必ず中リールがズルンと4コマスベる。これは、初心者でも気付く程の派手なスベリである。
淡々と打っていて、突然中リールが「ズルッ」「ニュルン」とくると、通常時と明らかに異なる違和感を覚えて、思わずゾクッと来たものだ。
当時のパチスロにおいて、「スベリ」と「ズレ目」は、共にフラグ察知における大きな醍醐味であった。その両者を一度に堪能できた本機は、ある意味で非常に贅沢ともいえる。
但し、左リールの停止形によっては、フラグ未成立時にもズレ目が出る事がある。この時、中リールのスベリは発生しない。いわゆる「ガセズレ目」である。
もちろん、ドリームセブンの場合も、ズレ目やスベリは重要なフラグ判別の要素だ。しかし、ドリームセブンでは、リーチ目やパターン目からボーナスフラグを察知する割合も多い。
一方、ビッグベンハーでは、ほとんどの場合「ズレ目」+「スベリ」がフラグ成立のサインとなる。その点でも、両者のゲーム性には明確な差が存在したのだ。
(当時の主な実戦店)
東京・高田馬場「ダイナム」(閉店)
※往年の高田馬場パチ屋マップ
http://blog.goo.ne.jp/selfconfide777mc/e/f82ae06a32aeee1b4cd735c1e24d68d2
(在りし日の馬場ダイナム) (現在は「ロイヤルホスト」が営業)
当時の馬場ダイナムには、ビッグベンハーの横のシマに「リノ」(ニイガタ電子、3号機)が置いてあった。また、パチンコではノーマルデジパチの「ウルトラ麻雀」「居酒屋」(共に京楽)、一発タイプの権利物(一般電役)「アニバーサリーI」(大一)、「アメリカンドリームP1」(豊丸)、そしてハネモノの「ガンコおやじ」(三共)などを打った記憶アリ。
この店は、ハネモノの無制限営業を採り入れたり、景品交換・再プレイ可能な「貯玉システム」(J-NET)を導入するなど、「他店とは一味違う」事を強調していた。「銀玉親方」こと山崎一夫氏が、よく実戦に訪れた店でもある。場所柄、攻略誌の関係者が良く打っていた。
(その他のビッグベンハー設置店)
池袋東口「ラック」、新小岩「ダイナム」、金町「ダイナム」、東急世田谷線・上町駅前「東朋」、千歳烏山「セゾン」など
(ボーナス確率について)
⇒不明(メーカー未公表)
当方所持の資料を全て調査したが、残念ながら、ビッグベンハーのボーナス確率に関する記載箇所は、一つも見つからなかった。攻略誌の独自解析資料も見当たらず、かなり「謎」な部分が多い機種だ(現在、調査中)。
なお、登場した当初は複数の攻略誌で「ビッグとレギュラーの比率は約1:2」との紹介があったが、後に「BR比率は1:1」と説明するものが増えた。
「1:2」の数値は、明らかに兄弟機「ドリームセブン」の解析値を参考にしたものだ。しかし、本機はもともと「等価交換向け」として開発されており、低換金向けスペックのドリームセブンとは、自ずと数値も異なるハズだ。また、実戦時、ビッグとバケの出現率にドリームセブン並みの極端な偏りがあった記憶もない。
ただ、自分が当時打っていたビッグベンハーは、やたらとボーナス間隔が早かった記憶もある。つまり、連チャン仕様の「裏〇ノ」の可能性も考えられるのだ。実際、ビッグベンハーのBモ〇の存在は、各地で確認されている。ノーマルのボーナス確率について明言する事は、私には出来ない。
(余談)
当時、地上波で放映された某・深夜ドキュメンタリー番組で、「パチスロ3号機」がテーマになったことがある(当ブログの読者の方なら、ピンとくるであろう)。この番組中、伝説の裏ROM師として名高い下田一仁氏が登場した。
下田氏へのインタビューが、仕事場であるマンションの一室で行われたのだが、解析ルームのど真ん中に、ビッグベンハーが「鎮座」していたのである。
下田氏は、テレビキャメラの前で、ビッグベンハーの基板を台からおもむろに外し、ROMを取り外してROMライターに乗せ、膨大な内部プログラムをモニターに表示させる。
そして、内部プログラムを自在に書き換えて「開店ROM」を作成する話など、業界の裏事情をあっさりと暴露したのだ。
「ああ、ビッグベンハーにも裏ROMが存在したのだな」と、確信するに十分な映像であった。