1989年(平成元年)に平和から登場した旧要件ハネモノ「ゼウス」
★賞球…オール13
★最高8ラウンド継続(9カウント)
★平均出玉…約500個
★ハネ開放時間…オトシ0.4秒、ヘソ0.7秒×2
本機は、1990年当時、何軒かのホールで打った記憶がある。特に、向ヶ丘遊園駅南口の「ぱちんこ遊園」に3台ほど置いてあったのが印象深い。
この店は、機種構成が今でいう「バラエティコーナー」のようになっていて、1機種につき2,3台と少ない代わりに、多彩な機種が導入されていた。
ハネモノやデジパチ以外に平台(チューリップ台)などもあって、小銭で遊べるアットホームな店だった(ただ、デジパチのヘソはキツかったが…)。
また、スロは北電子の台ばかりを設置していた(1.5号機「ニューキャスターII」、2号機「ガリバー2」「ガリバースペシャル」)。他店とは一風変わった匂いのする、個性的な小店であった。
小田急線・向ヶ丘遊園駅南口ロータリー近くの商業ビル「中和ビル」(現在の画像)。90年当時、このビルの2階を入った左手に「ぱちんこ遊園」があった。ビル屋上に「ぱ」「ち」「ん」「こ」「遊」「園」の文字看板が、2階入口前には縦長のネオン看板があった。屋上には「第一家電」の看板もあったな…。
(営業当時のネオン看板…奥にチラッと見えるのが、向ヶ丘遊園行きモノレールの階段)
(ゲーム性)
「ゼウス」の役物は、上下2層構造になっているのが特徴だ。ハネに拾われた玉は、まず上段の透明なステージを奥に転がり、そのまま下段へと落ちる。ステージ奥中央には、独特の形状をした切込みが入っていた。役物への寄りはイマイチで、ハネが空振りするケースも多かった。
一方、役物下段には宇宙ステーション(盤面には「COSMIC BASE=宇宙基地」とある)を模した円盤が構える。上段から落下した玉は、(1)円盤にクッションして手前に転がるか、(2)円盤を乗り越えて円盤奥から落下し、ステージ下段奥から手前へと戻ってくる。手前の中央にはVゾーンがあり、その両脇がハズレ穴になっている。
(1)のパターンは玉がランダムに跳ねるが、大抵は左右のハズレ穴に入る(たまにVに飛びこむ事アリ)。一方、円盤の奥から落下して手前に戻る(2)のパターンは、高確率でV入賞する。これは、円盤下のステージ左右にある赤い「突起」が、奥から転がって来た玉の軌道を変え、中央Vゾーンに向かい易くしていた為だ。
(通常時の役物の様子)
通常時は、上段から落下した玉の多くが、円盤に当ってから手前に転がる。その為、容易にはV入賞しなかった(トータルのV入賞率は1割程度だったと記憶)。円盤奥に玉が向かうには、上段ステージの両サイドから落下するとか、役物内に通常よりも勢いよく飛びこむなどの条件が必要だった。
また、(2)のパターンからでも、いわゆる「クセ悪台」だと頻繁にVを外した。同様に、「円盤の左奥から戻ってくる玉は良くV入賞するが、右奥から来た玉はVを外し易い」などのクセ台も存在した。当時の他のハネモノ同様、とかく役物のクセに左右される事が多かったのだ。
首尾よく大当りすると、貯留機能はないものの、3カウント後に円盤がクルリと反転する。
(3カウント後、円盤はこのように反転、強力にV継続をアシストする。)
円盤が反転すると、上段から落下した玉は、通常時とは逆に、円盤の奥に向かい易くなる。奥から落下した玉が、手前に戻ってV入賞するパターンが増える訳だ。
さらに、反転した円盤の中央部分には「くぼみ」がある。玉が奥に向かわなくても、くぼみに乗った玉が手前に転がれば、V入賞率は大幅にアップする。8ラウンド完走するケースも多く、V継続率は高かった。
★「ゼウス」の新要件版(リメイク)…「ニューゼウス」(1993年登場)
★賞球…オール10
★最高15ラウンド継続
★平均出玉…約400個
★ハネ開放時間…オトシ0.5秒、ヘソ0.5秒×2
・役物の構造は元祖「ゼウス」を踏襲していたが、円盤に一部変更が加えられ、通常時に玉が円盤奥から手前に戻る「王道ルート」が消滅。通常時、役物内の玉は全て円盤に当って手前に向かう(但し、大当り時は王道ルートあり)。
・元祖ゼウスの場合、大当り中の全ラウンドで、「3カウント」すると円盤が反転した。一方、ニューゼウスでは、1~6ラウンドと10~14ラウンドは1カウント、7~9ラウンドは3カウント、最終15ラウンドのみ7カウントで円盤が反転するように変更された。
・1カウントで円盤が反転するラウンドでは、すぐにV継続してしまうケースが多い。継続率が元祖よりもアップした一方で、1ラウンド当りの入賞個数は減った。15ラウンド完走するケースも多かったが、オール10なので出玉のボリューム感はなかった。
・この時期、多くのメーカーが旧要件ハネモノのリメイク版を出しており、平和もニューゼウスの他、ニュービッグシューター、ビッグシューター8、スーパーキャノンDXといったリメイク機を相次いで登場させている。
・本機の場合、元祖ゼウスの通常時メイン入賞ルートが消えた点が大きく、残念ながら魅力も半減したように感じた。ただ、当時のハネモノの中では遊べる部類に入ったので、ハネモノ本来の楽しみ方は出来たと思う。