1992年(平成4年)に西陣から登場した新要件ハネモノ「カッパブギ」
★賞球…7&15
★ハネ開放時間…オトシ=0.35秒、ヘソ=0.6秒×2
★最高15ラウンド継続(2ラウンドスタートの為、7セグ表示は「16」まで)
★平均出玉…約900個(展開次第では1500個オーバーも可能)
★兄弟機…「カッパブギP-2」
賞球が7&13と少ない「カッパブギP-2」…盤面には「かっぱぶぎ」と平仮名で表記
ハネモノの固定概念を打ち破った、斬新なヤクモノで注目された本機。
従来のハネモノといえば、ヤクモノの「手前」か「奥」にVゾーンがあり、V穴入賞(通過)で大当り、というのが一般的だった。しかし、本機の大当りまでの過程は、少々違っていた。
ハネに拾われた玉は、上段ステージ奥の左右から下段に落ちる。下段では、12枚のヒダ(仕切り)が付いた黄色い回転盤が、時計方向にクルクルと動いている。
この回転盤の中央には、主役の「カッパ」がいる。普段は、頭の「お皿」だけが見える状態で、顔全体は隠れている。
ハネ開閉動作に続き、このカッパがグーンとせり上がって顔を出す。この時、カッパのお皿に玉が乗っていると、頭上(天井)にある「V ZONE」と書かれたVセンサーが玉を感知して、大当りとなる。
ヤクモノの天井にVゾーンがあり、センサー感知で大当りとなる仕掛けは、ハネモノでは本機で初採用されたハズだ。当時の西陣は、こういった独創的なハネモノを多く世に出していた。同時期には、ニューナパーム、ペタンゴ星人、リキゾー、ニューピンボールP6、カバ丸くんP3なども人気を博した。
回転盤の「慣性の法則」により、上段ステージの左側から落下した方が、右側よりもカッパのお皿に乗る確率が高かった。また、台の「ネカセ」やヤクモノの「クセ」も重要で、お皿に乗り易い台を見つける事がポイントとなった。
ヤクモノの手前には、「OUT」と書かれたハズレ穴がある。中央のお皿に乗らなかった玉は、このOUT穴に落ちるのだが、2チャッカーに入賞した場合に限り、回転盤とOUT穴の間を一定時間ストッパーが塞いでくれる。この時、1回目のハネ開放時に拾われた玉が、回転盤上に残ってお皿に乗るチャンスが、大幅にアップしたのだ。
ヘソの2チャッカーは両サイドがカバーで覆われていて、通常入賞しづらい構造になっていた(⇒全く入らない訳ではない。但し、「カッパブギP-2」では絶対に通常入賞しない)。しかし、盤面左肩の「CHANCE」チャッカーに入賞すると、カバーが3秒間開いて2チャッカーに入賞しやすくなる。CHANCEチャッカーは7個戻しになっていて、スルー式ではない。
大当りすると、例のストッパーが働いて(最終ラウンドを除く)、ヤクモノに入賞した玉は、回転盤に貯留された状態で動き回る。その間に、中央のカッパのお皿に玉が乗れば、カッパが頭を出した時にV継続となる訳だ。回転盤は手前に傾斜しており、回転盤上の玉は、何度もお皿へのアプローチを続ける(回転盤の奥から、手前に転がる感じで)。
ストッパー解除(カッパが顔を出す)タイミングは、ヤクモノ4カウント時と10カウント時(orハネ18回開閉後)の計2回ある。当然、序盤でお皿に玉が乗らない方が、出玉は多くなる。これは運次第だが、時には1500個以上の大量出玉も期待出来た。
この時、「止打ち」がV継続率のアップに有効だった。ヤクモノに8~9個目の玉が入ったら、一旦打ち出しを停止する。そして、回転盤の玉の動きを見て、カッパのお皿に玉が乗ったのを確認してから、10個目を入賞させる。これだけで、不用意なパンクの確率は大幅に減った。また、本機はラウンド間が長いのも特徴で、その間の止打ちも無駄玉防止には必須だった。
現役時の実戦店…高田馬場「国際センター」(国際会館)など
1990年代初頭の高田馬場「国際センター」入口付近…当時、スロではスーパーバニーガールやスペーススペクター、それにマジカルベンハーなどを打っていた。右隣りに寿司屋、その隣の角地にファーストキッチンがあったが、今は存在しない。ただ、左の路地を挟んだ向いの「幸寿司」(昼は立ち食いそば、夜は寿司屋)は今も健在(…のハズ)。
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(現在も、同じ場所で営業を続けている)
(国際センター「カッパブギ」、カド台の思い出)
ある日の夕方、カッパブギのカド台に「開放台」の三角プレートが入っており、ちょうど空き台だったので、台間の玉貸機に1000円札を入れて500円分の玉を買った。その玉を上皿に入れていると、速攻で店員がやってきて、「これは、女性専用台だよ」と注意された(確か、タイムサービスの最中で、頭上に刺さっていた「女性専用台」札を見落としたと記憶する)。
慌てて玉を下皿に落として、両手に持って別の台に移動したのだが、玉貸機の返却口には、お釣りの500円玉がまだ残っていた。あいにく両手が玉で塞がっており、「お釣りは、玉を置いてから取りに戻ればいいや」と、近くの台に玉を置いてから戻ると、返却口の500円玉が跡形もなく消えていた。
この間、時間にして僅か15秒程度だったと思うが、周りにいた誰かが、500円玉をパッと返却口から盗んだ事は明らかだった。ただ、店内はかなり混雑しており、犯人捜しなど到底不可能だった。結局、大して釘も良くないカッパブギで500円分の玉を打ち込み、忸怩(じくじ)たる思いで店を出た。
「たかが500円」と笑われるかも知れないが、当時の自分には結構ショックな「事件」だった。ホールには鵜の目鷹の目で他人の金を狙う、不埒な輩がはびこっているのだと、あらためて痛感した出来事である。