1990年(平成2年)に奥村から登場した旧要件ハネモノ「サカアガリくん」
★賞球…オール13
★最高8ラウンド継続
★10カウント機
★羽根開放時間…オトシ(1チャッカー)=0.4秒、ヘソ(2チャッカー)=0.6秒×2
★大当り時の貯留機能あり(2段階貯留)
★平均出玉…約400個(平均継続R数はクセにもよるが、4R~5Rといったところ)
★本機の新要件版…「サカアガリくんJr」(賞球7&15、最高15ラウンド継続)
ヨリ眼に大口を開けた役物キャラ(サカアガリくん)のコミカルな表情と、鉄棒の「逆上がり」を行う独特の動きが特徴的な、旧要件末期の個性派ハネモノ。
同時期には、クルタロー(平和)、ストレンジャー7(平和)、演歌道3(三共)、ロードダンサー5(ニューギン)などの「名機」も出ている。
(画像1)
通常時、役物キャラは、両手で鉄棒にぶら下がった状態で停止しているが(画像1参照)、1チャッカー入賞時に1回、2チャッカー入賞時に2回、体を回転させて「サカアガリ」の動作に入る。
(画像2)
このとき、ハネに拾われた玉がうまくキャラの口の中に入ると、大当りのチャンスとなる。キャラはそのまま背後にグルッと回転して、口中の玉は下段ステージ奥に落下する。サカアガリくんの口には2本の「前歯」(突起)があり、落下時に玉の動きを安定させる役目を持つ。
下段ステージ中央には、奥と手前とを結ぶ「レール」がある。落下した玉が、このレールに乗って折り返し、手前中央のVゾーンに入ると大当りとなる。但し、ステージの「クセ」が悪いと、左右にブレてVを外したりする。
一方、ハネに拾われた玉が口の中に入らず、手前に直接落下した場合は、キャラ手前の透明な「カマボコ板」に当たり、左右に振り分けられてしまう。Vを外すときは、大抵がこのパターンである。こうなると、十中八九、Vゾーン両サイドのハズレ穴に入ってしまうが、たまに下段ステージの壁にクッションして、中央V穴に飛び込むケースもある。
大当りになると、ハネ開閉4回目までは、役物キャラが上を向いた状態で停止(画像2参照)。この時、口の中やすぐ外に玉を最大5個まで貯留する。そして、5回目のハネ開閉時に、サカアガリ動作で背後にクルリと回転すると、貯留玉は下段ステージ奥に落下する。
大当り中は下段ステージに「傾斜」がついており、落下した玉は下段奥のスペースに貯留され易くなる(最大3個まで)。つまり、ラウンド前半でキャラの口に貯留された玉が、下段ステージに落下してから再び貯留されるのだ。このような「2段階貯留システム」は、三共「道路工事I」などでも見られた特徴である。
下段奥に貯留された玉は、ハネ開閉7回目に貯留が解除されると、ステージ手前に転がってくる。この時、ステージ奥中央に1個貯留があれば、大抵はVゾーンに向かう。ただ、途中で後続玉に弾かれる場合もあり、確実にV入賞する訳ではない。また、クセ悪台だと、この「必勝パターン」から平気でVを外したりする。
ラウンド前半と同様、ハネ開閉6~8回目も役物は上向きで停止、口の中に玉を貯留する。そして、9回目のサカアガリ動作で玉を下段に送って再貯留した後、11回目に貯留解除となる。
つまり、本機の貯留解除タイミングは、ハネ開閉7回目と11回目の計2回だ。一方、ハネ開閉9回目以降は役物が停止せず、ゆっくりとサカアガリ動作を繰り返すようになる。この時ばかりは、通常時と同じ要領でキャラの口に玉が入らない限り、V継続は難しい。よって、本機のV継続チャンスは、主に「ラウンド前半」にあるといえる。
なお、大当り中の小技としては、ラウンド間の3.5秒間は打ち出しを停止して、玉を節約する方法が有効とされた。また、ハネ6~8回目に、キャラの口に玉を1個貯留したら打ち出しを止めると、下段奥にうまく再貯留されて継続しやすい特性もあった。
釘以外の要素としては、役物やステージの「クセ」がかなり重要であった。いくらナキが良くても、貯留玉がVを外しまくる「性悪台」では、予定数終了への道も困難となる。釘に騙され、チビチビ追加投資を繰り返して、気づいてみれば数千円の負け…なんてパターンに泣かされた方も、多いのではないか。
それでも、当時は100円単位で手堅く勝負出来たうえに、打ち止め(大抵は2500~4000個)まで持って行けば、5000~10000円(換金率は大抵2.0~2.5円で、3円以上は少数)の見返りがあった訳だから、「ローリスク・ミドルリターン」のオイシイ時代だったと思う。