以前、師の郭先生は、「医術の源流は巫術(シャーマニズム)にある」と話しておられました。
おそらく、伝統的な医学・医術は古代の巫術からある程度の確実性・再現性のある部分が独立して発展し、
学問として体型づけられながら後世に伝えられていったのだと思われます。
一方、古代日本における邪馬台国の卑弥呼に代表されるように、
巫術と政治の関係も深く、政治もまた巫術より起こり、分離独立していったと考えられます。
さて、先日行われた衆議院選挙で、
わが杉並区では俳優の山本太郎氏が立候補し、話題となりました。
彼は福島の原発事故を機に所属していた事務所を飛び出し、
脱原発運動に身を投じていることはご存じの方も多いかと思います。
また、彼の行動に対して疑問に思われる方も少なくないと思います。
「脱原発ばかり叫んでも仕方ない。」
そんな声も当然聞かれるでしょう。
いったい何が彼をそれほどまでに突き動かしているのでしょうか?
「皆様の声を国政に届けます!」
選挙があるとよく聞かれる言葉です。
現代における政治家の仕事は国民の声を代弁することです。
では国民の声とはいったいどのようなものでしょうか?
「景気をよくして欲しい。」
「安定した老後を送りたい。」
「安心して子育てがしたい。」
どれもよく聞かれる「国民の声」です。
それならば山本太郎氏が届けたかったのはどのような声だったのでしょうか?
ここで巫術というキーワードが浮かんできます。
演劇の起源の1つとして巫術や宗教儀式的なものがあるとするならば、
彼はそれを「演じる者」として何かの「声」を表現しようとしているのかもしれません。
そして彼の俳優としての純粋な本能のようなものがその根本にあるような気がします。
その点、彼は根っからの役者魂を持った人間と言えるのかもしれませんね。
政治家と役者、浅からぬ因縁を感じる今日この頃です。