私が大学1年生の時の話です。
当時、祖父母の家には餅つき機があったので、
祖母は時々切り餅を作り、私の下宿に送ってくれることがありました。
たしか6月ごろの話だと思いましたが、
ある休日、朝食にしようと冷蔵庫を開けると、
中はほとんど空。
残っていたのは祖母の切り餅だけでした。
その切り餅を見ると、
赤やら青やら黄色やら信号機のようにカラフルなカビだらけ。
しかし他にめぼしい食べものもなく、
近所にコンビニや商店もないような田舎だったため、
仕方なく流水でカビをこすって洗い、
鍋で煮てカビ臭いのを我慢して何とか胃袋に押し込みました。
それからトレーニングジムに行くため家を出て駅に向かい、
列車に乗って20分くらい経ってからでしょうか、、、
なにやらみぞおちの辺りがムカムカしはじめ、
目的の駅につくころには
こみ上げる吐き気でトレーニングどころではなくなり、
引き返して下宿に帰ることにしました。
吐き気と闘いながら何とか下宿に帰り、
吐けば楽になるかと思ってトイレに行ってみたものの、
胃の中身はすでに消化してしまったのか、
大量のだ液が流れ出すばかりで吐き出すこともできません。
布団に横になってひたすら苦しみに耐えるしかない状態。
ついに寒気まで始まってしまいました。
それから何時間経ったでしょうか・・・
偶然にも夕方にA先輩が私の部屋に立ち寄ってくれました。
(前回の記事でご紹介したA先輩です)
私が事情を話すと、A先輩は私にお灸の道具を出すよう指示をしました。
私がお灸の道具を出すと、今度は靴下を脱いで足の裏を出すようにとのこと。
吐き気をこらえつつ言われたとおりにすると、
足の人差し指の腹の一番とがった部分に墨をチョンと塗ってから、
その指を折り曲げて墨が足の裏の皮膚に当たった部分にお灸をすえ始めました。
お灸はモグサをひねって米粒くらいの三角錐にの形にして、
ツボにおいて線香で火をつける、直接灸の方法です。
最初は全然熱さを感じませんでした。
同じツボにどんどん重ねてお灸を繰り返します。
そうすると徐々に温熱感を感じ始め、
吐き気が軽くなってきたような気が、、、
最後にツーンとキリで刺されたような熱痛を感じた時には
みずおちの辺りのムカムカがスーと軽くなって、
寒気も止まってしまったのでした。
それから仕上げに背中の胃腸のツボにお灸を軽くしておしまい。
その日限りですっかり良くなってしまったのでした。
ちなみに足の裏のツボは「裏内庭」といいまして、
食あたりの灸ツボとして知られています。
それでもこれだけ劇的に効いたのには正直驚きました。
二度と味わいたくない苦い経験ですが、
ツボとお灸の効果を身をもって経験できた貴重な思い出です。