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のほほん書斎(日高茂和)

コウサコ・こうさこう・口砂香

米粉と砂糖を材料にして型押しでつくられる落雁の一種を口砂香と呼ぶのは長崎県内の限られた地域だけのようだ。傷みにくい菓子ということで仏壇に年中供えられていて、食べるものというより飾るものという捉え方をしていたし、いまだにその感覚は抜けない。お供えものの交換をするときに食べた、お線香の香りがついたボソボソした食感の菓子は「食べるとご先祖さんのご加護がある」といった祖母の教えもあって、やむなく服用する薬を飲むような気持になりながら食べたことを思い出す。
お盆が近づくと、九州北部のスーパーの特集コーナーにはお盆関連商品がならび、そのなかの供物菓子の口砂香は定番の商品だ。
祖母は、桃の形や花の形をしたその菓子をコウサコと発音しており、父母もそのように発音していた。五十歳ころになってはじめて口砂香と表記することを知って、ものの特徴をとらえた命名だと感心したものだ。
祖母がなぜコウサコと発音していたのかはわからない。明治十八年に生まれた祖母の育った時代の五島福江石田城下に住まいしてきた人たちがそのように発音していたものなのかどうか。謎は謎として、私にとってもコウサコと呼ぶしかない菓子をお供えした。

コメント一覧

soyokaze2huhuhu
こんにちわ。昔、実家にいる頃に仏壇に上がっていたお菓子を思い出します。白い和紙に包んであって、お供物とかいてありました。おくもつ・・・砂糖のようだけど。すぐぽろぽろして・・
美味しいとは思えませんでしたが、母がみんなに分けてくれました。なんだかなつかしいです
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