今はもうあんとかけっこをしても、まず勝てないが、まだあんがほんとうに小さい頃には勝てたことがある。
昨日、犬とかけっこをしている男の子たちを見た。
まだ子犬を連れた小学三年生くらいの子とその友達であろう子が道路の端でかけっこをしていた。
犬を連れた一人の子は両手を地面につけ、もう一人の子は走るポーズを取り、子犬は何が始まるのか、その子供の行動に注目していた。
聞こえなかったが、きっと「よーい、どん!」とでも言って走ったのだろう。
子供は子犬にあまり気にせず、ただ一生懸命に走っていた。
子犬は足にリードが絡まっていたが、それでも、一緒に走っていた。
15メートルぐらい走って止まり、大笑いして、また「よーい、どん!」して走り出した。
後姿だけしか見えなかったがきっと笑って走っていたのだろう。
とても楽しそうだった。
たぶん、リードなく、子犬が本気で走れば、子供たちは追いつけないだろうが、子犬は一緒に走ることが楽しそうであった。
その楽しさは自分の目に映り、心にも移った。
自分はきっとあの子たちと同じくらい頃を思い重ね眺めていたのだろう。