Mのミステリー研究所

古今東西の面白いミステリーを紹介します。
まだ読んでいないアナタにとっておきの一冊をご紹介。

「ディアトロフ・インシデント」事実の事件を描く

2014-03-22 17:44:08 | 日記
レニー・ハーリン監督の作品です。この人はダイハード2のあとスランプに陥ったみたいでパッとしない作品ばかり撮っていましたが
最近よくなったのか良い仕事をするようになってきました。これは1959年実際に起きたディアトロフ峠事件を映画化したものとのことで興味津々で観ました。
ディアトロフ峠事件とは、旧ソ連で極寒のウラル山脈を越えようとした9人の登山バーティが遭難した事件です。しかし、遭難した9人全てが死体で見つかったのですが
その様子が外傷がなく頭蓋骨が折れていたり、舌が切り取られていたりする者や、高い放射能に汚染されていたりと不可解な状況だったことです。
謎が解明されないまま年月がたち人々から忘れられていったこの事件を、アメリカの大学生たちが真相を探るため調査を始め事件の現場に辿り着くが・・・。
そんなストーリーとなっていますが、興味はどのような解決をみせるかでしょう。事件の前にオレンジの光が見えたとか、原住民による他殺事件であるとか、周りには他の登山隊などの
痕跡は何もなかったとかいろいろ云われていたようです。しかし、妙な扉を見つけ中に入っていくところまではいいですが。
結局、あの話の持っていき方ではその時点で興味が半減します。まえふりは良かったんですが、後半はガッカリな印象でした。
もっと違ったストーリーで見せて欲しかったと思います。個人的には「サンクタム」と同じぐらいガッカリな内容でした。

         

「トランス」ダニー・ボイル監督のサスペンス

2014-03-22 17:05:01 | 日記
「127時間」の後のダニー・ボイル監督の新作です。「127時間」は鮮烈な映像で魅せてくれましたが、今回は催眠=トランスといったお話で
オークション会場からゴヤの名画「魔女たちの飛翔」を盗み出す途中、競売人のサイモンが計画に無い行為をしたためボスに頭を殴られることになります。このケガがきっかけで彼は記憶を
失います。回収して持ち帰った額縁には絵がないことに気付いたボスはサイモンに絵のある場所を吐かせるために心理療法、催眠術の治療を受け記憶を取戻させようとします。
しかし、サイモンの頭の中は複雑でした。それには理由があるのですがネタバレになってしまうのでここは書けません。
とにかく絵がどこにあるか記憶を取戻させようと焦る強奪メンバー。そこに何故か治療を担当していた女の医師が入り込んできます。いろいろ手を尽くす心理療法ですが少しずつ
記憶が戻ってきます。しかし、このあと展開が目まぐるしく変わり先が読めなくなります。女性医師とサイモンの関係。絵の隠し場所。強奪メンバーたちの動き。
これらが127時間で見せたスタイリッシュな映像で描かれます。1カットにこだわった映像。バックに流れる音楽。いずれもダニー・ボイルらしい心地よいものです。
ことの真相もラストの余韻の良さもありスッキリした気分で観終わりました。

        
                  

「モネ・ゲーム」楽しいドタバタ劇

2014-03-22 16:49:39 | 日記
好きなコーエン兄弟が脚本を手がけたものなので楽しみにしていた。劇場では観ることが出来ずにいたので早くDVDが出て嬉しい。
往年のピンク・パンサーのようなドタバタ劇でもあるし、コリン・ファースとキャメロン・ディアスの顔合わせによる犯罪コメディとなれば見逃すわけにはいかない。
一枚の絵を巡って騒動が起きるわけだが、オチはあ、そっちだったのかと思わず笑ってしまった。キャメロン・ディアスも初めて見た「メリーに首ったけ」からみると
だいぶお歳を召しておられるがキュートさは残っていて楽しかった。コリン・ファースは務めて無表情にして感情を抑えた男でそういった役がよく合っていた。
モネの贋作を用意して億万長者をカモにしょうとする計画だが、思わぬ展開で計画が狂いだしていく・・・。そんなストーリーでよくある話と言えなくも無いが
そこはコーエン兄弟、ちゃんと見せてくれます。ホテルを舞台にしたシーンはどこかで見たようなシーンでもあるけれど、それらもストーリーの展開上はずせなく
そういった引っ張りがあってこそラストのオチが決まるわけで、演出の確かさを実感するところです。ちょっとお腹がすいた時のスナック菓子のような小品ですが楽しめました。


            

「イノセント・ガーデン」雰囲気たっぷりのミステリアスな物語

2014-03-22 11:41:07 | 日記
オールド・ポーイのパク・チャヌク監督の作品ですが、ミア・ワシコウスカの魅力と相まって雰囲気たっぷりのミステリアスな物語でした。急死した父の
葬式に不意に現れた叔父。母と娘のあいだに入り込む叔父。危うい雰囲気の三人の関係とミア・ワシコウスカ演じるインディアの繊細な内面。それらをパク・チャヌク監督は丹念な画面作りで
観せます。そしてプロローグにあるインディアのモノローグ。その意味はラストで明らかになる演出の良さ。叔父のなんとなく胡散臭い感じもチラッと見せる偏執的なところも
伏線としてとても上手いと感じます。二コール・キッドマンも確かな演技で魅せますしこのキャスティングはなかなかピタリとはまった良いものでした。
意味深なエピソードを見せながら少しずつ叔父の正体が明らかになり、つれてインディアの隠されていた内面が表層に現れてくるところはゾクッとする怖さを感じます。
もちろん叔父役のマシュー・グードの怪しい雰囲気の演技も光っていますが、いちばんはミア・ワシコウスカの魅力でしょう。あの無言で射るようなまなざしのアップの画面。
主人公と同化したように感じます。観終わった後少し疲れを感じるのはパク・チャヌク監督のあの雰囲気たっぷりの映像に酔ったということなんでしょう。

     

「夏の名残の薔薇」恩田陸の世界

2014-03-22 10:03:39 | ミステリ小説
この作家の本はそう数多く読んでいない。これはタイトルが素敵なのとあらすじを見て面白そうと感じて読んでみた。
この人の作品はキチンと最後に完結する話しではなく曖昧なまま終わらせるやり方が多いようで、この物語もそんな終わり方をする内容だった。
何人かの人物がそれぞれの胸のうちを語る。そんなシチュエーションがよくある様で、「木曜組曲」もそんなスタイルの書き方だった。
一人ひとりの口から語られることも微妙に変化していき、どれが真実でどれがウソなのか分からなくなっていく。事件はあったのか無かったのか、それすらも曖昧に見えてくる。
辺鄙な山奥に建つグランドホテル。毎年招待される企業の関係者たち。創業者の娘たち三人がディナーの席で語る不思議な話。通例となっているその席で
語られるのは記憶の底に沈殿した犯罪を掘り起こす物語。華やいだ人物たちが多く集まるが、いろいろな噂をもった人たちの集まりでもある。
三姉妹それぞれの口から語られる物語も境界が曖昧でどこまでが現実かハッキリしない。そんな内容ではあるが物語の世界に引きずり込まれる。リーダビリティのある
恩田陸独特の語り口のせいでしょう。雰囲気ある世界でミステリアスな物語を読ませてくれるそんな本でした。