Mのミステリー研究所

古今東西の面白いミステリーを紹介します。
まだ読んでいないアナタにとっておきの一冊をご紹介。

「扼殺のロンド」小島正樹のミステリ

2014-11-17 08:38:56 | ミステリ小説
                             

トリックに派手な要素を取り入れる作家です。ミステリらしいミステリと云えるかも知れません。タイトルからして作者の意図が隠されています。

二重密室と容疑者不在。これだけでも中身の濃いストーリーになりますが、この他にもミステリのガジェットやアイテムがいろいろ詰め込まれた贅沢な内容のミステリです。今は使われていない自動車修理工場。その中に

クルマが一台壁に激突して止まっています。衝撃によりドアは開かない状態で男と女が死亡していました。さらに数分後にこの地の持ち主が事故に気付かず表門を閉じてしまいます。二重の密室です。

検視の結果助手席の女は腹を割かれ内蔵が抜き取られていました。運転席の男はまるで高山病のような症状で死亡していました。事故の直前にすれ違った他の車のドライバーは二人が生きていたと証言します。

この謎に刑事コンビとその友人、そしてその友人の仲間に自称名探偵と云う男がいて、そんな彼らが調べていく過程が主なストーリーとなっています。とても奇妙な冒頭の謎の設定です。不合理な二人の死因にどう説明を

つけるのか興味津々で読み進みます。はじめに大きな謎を見せて、後はその謎の解明にただ動き回るだけの内容では普通のミステリです。三津田信三とかこの小島正樹のミステリはそんなゆるいミステリではありません。

二転三転するストーリーに読者の想像をひっくり返したりと、ミステリの要素をいくつも詰め込み著者のミステリを愛する心とミステリファンへのサービス精神に溢れた内容がこの二人の作家の特徴です。

いわばオーソドックスな内容と採れなくもありません。しかし、こういった内容のミステリは心地よいものです。時間の過ぎるのを忘れて読みふけります。

この謎の結末が気になったあなた。もう読むしかないですね。