児童擁護施設を舞台にした連作ミステリです。いわゆる日常の謎をメインにしたミステリですが、児童擁護施設を舞台に据えたことで社会派的なテイストを持った
内容になっています。でも想像が付くようにこれらの世界のことを書くと内容が重くなってしまいます。暗く重い話は苦手と捕らえる人が多いと思います。著者はその辺を考えてか主人公になる子供たちの生活とか
抱える様々な問題はサラリと書いていますから読んでいるこちらの気分はそう重くはなりません。しかし、考えさせることはあるのでこの辺のさじ加減は著者の上手さではないかと思います
学園七不思議といわれる出来事があって、その謎に現在の出来事がリンクしていくストーリー構成になっています。七海学園に勤める保育士・北沢春菜がこの物語の主人公ですが、学園で生活するいろいろな子供たちが
巻き起こす問題や出来事が北沢春菜を悩ませます。そんな春菜を助けるのが児童相談所に務める児童福祉司の海王さんという人物です。春菜から話を聞くとあっさりと謎を解きます。するどい洞察力の持ち主ということですが
この探偵役の人物設定も好感が持てます。北村 薫の「空飛ぶ馬」他のシリーズのような円紫師匠と女子大生の私のコンビを彷彿とさせます。六つの謎が絡む物語を読み進むと最後に七つ目の物語があって
これまでの話がひとつに繋がっていることに読者は気付きます。このように書くとある意味ネタバレになるかも、ですがしかしそれでこの本の面白さが半減するとは思えません。
いろいろなピースが最後にピタッと合わさり、これまで読んできた様々な出来事の裏にあったことが実はひとつに繋がっていた、そんな仕掛けのあるストーリー構成になっています。
こういった仕掛けそのものは目新しくはありませんが、これが見事に嵌まると読後感は爽快になります。この本もそういった点では成功していると思います。このスタイルは続編の「アルバトロスは羽ばたかない」にも
使われています。この続編の「アルバトロスは羽ばたかない」も中々悔やまれない一冊です。二冊続けて読むと著者の意図がはっきりと解かります。日常の謎を扱ったミステリも沢山あり、それぞれ作家の個性を出した
世界感とか設定を考えた物語が書かれていますが、この二冊も読んで損の無いミステリといえます。第18回鮎川哲也賞受賞作ですが水準以上の作品だと思います。
内容になっています。でも想像が付くようにこれらの世界のことを書くと内容が重くなってしまいます。暗く重い話は苦手と捕らえる人が多いと思います。著者はその辺を考えてか主人公になる子供たちの生活とか
抱える様々な問題はサラリと書いていますから読んでいるこちらの気分はそう重くはなりません。しかし、考えさせることはあるのでこの辺のさじ加減は著者の上手さではないかと思います
学園七不思議といわれる出来事があって、その謎に現在の出来事がリンクしていくストーリー構成になっています。七海学園に勤める保育士・北沢春菜がこの物語の主人公ですが、学園で生活するいろいろな子供たちが
巻き起こす問題や出来事が北沢春菜を悩ませます。そんな春菜を助けるのが児童相談所に務める児童福祉司の海王さんという人物です。春菜から話を聞くとあっさりと謎を解きます。するどい洞察力の持ち主ということですが
この探偵役の人物設定も好感が持てます。北村 薫の「空飛ぶ馬」他のシリーズのような円紫師匠と女子大生の私のコンビを彷彿とさせます。六つの謎が絡む物語を読み進むと最後に七つ目の物語があって
これまでの話がひとつに繋がっていることに読者は気付きます。このように書くとある意味ネタバレになるかも、ですがしかしそれでこの本の面白さが半減するとは思えません。
いろいろなピースが最後にピタッと合わさり、これまで読んできた様々な出来事の裏にあったことが実はひとつに繋がっていた、そんな仕掛けのあるストーリー構成になっています。
こういった仕掛けそのものは目新しくはありませんが、これが見事に嵌まると読後感は爽快になります。この本もそういった点では成功していると思います。このスタイルは続編の「アルバトロスは羽ばたかない」にも
使われています。この続編の「アルバトロスは羽ばたかない」も中々悔やまれない一冊です。二冊続けて読むと著者の意図がはっきりと解かります。日常の謎を扱ったミステリも沢山あり、それぞれ作家の個性を出した
世界感とか設定を考えた物語が書かれていますが、この二冊も読んで損の無いミステリといえます。第18回鮎川哲也賞受賞作ですが水準以上の作品だと思います。