渋いっ!僕らのTokyo Jazz Cruising♪~今夜も出航!~

Live cafe & bar 池袋Apple Jump(アップルジャンプ)店主の日誌

北欧系クリスタル・ジャズを堪能!~西山 瞳&井上 淑彦DUO~

2008年11月30日 | ジャズ・ライブ
停泊地)大塚グレコ(08.11/18)
メインアーティスト)西山 瞳(p)井上 淑彦(t&soprano.sax)

今日は、久しぶりの大塚グレコです。とは言え、このブログでは初登場となりますので、ちょっと説明します。

よくタウン誌などで、“隠れ家レストラン”とか“隠れ家ジャズバー”と言う謳い文句が有ります。メインストリートから一本、路地に入った、こだわり系の店の紹介の時に使われます。
しかし大塚グレコほど、この謳い文句に相応しいライブ・バーはありません。
完全に民家の密集地のど真ん中に溶け込んでいます。
初めてこの店に来たときは、さすがに迷いました。ホームページには、かなり正確で親切な地図があるので、最後の角を曲がるところまでは、順調に進みました。
しかし、なかなかそれらしい建物も看板もない!このまま進むと巣鴨まで着いてしまう。駅から5分という説明文からみてどう考えてもおかしい。と言うことで、引き返したりして何度も行ったり来たりしてしまいました。

間違いなく目の前に来ていると確信しているんだけど、一向に目的地に着かない。
そう言えばチェコの小説でこんな設定の話があったなぁ、などと考えながらウロウロしている内に、微かに記憶に残っているMAPに掲載されていた写真の階段が目に飛び込んできました。
あ、ここだ!と思って、階段を上がると入り口に、アルファベットで書かれた個人の表札が掛かっています。
万が一違ってたら、他人の家に勝手に入ることになる。ひょっとすると相当ヤバイことになるな、と思いつつ恐る恐るドアを開け中に入りました。
勿論無事辿り付いた訳ですが、なかなかスリリングでした。
(後で知ったのですが、入り口のところに、銅板のようなもので、GRECOと書かれた看板が有ります。でもこの時は、真っ暗ですし、全く気が付きませんでした。)

3階建ての自宅を改造したライブバーは、8人程度が座れるカウンターとテーブル席がひとつあるだけです。(ここも普通はミュージシャンが座ってます。)
編成はジャズ、ボサノバ、ワールド、クラシック、シャンソン等と文字通りジャンルレスで、ママさんのお気に入りのミュージシャンを呼んでお酒を飲みながらサロン風のプライベート・ライブを楽しむという感じですね。

さて、だいぶ前置きが長くなりましたが本題に入ります。
本日紹介する西山 瞳さんは、現在最も期待されている大坂在住の若手ピアニストの一人です。イタリアのピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィに影響を受けたと言うことで、ビバップ系のジャズとは対極の、ヨーロッパ・スタイルの透明感あるピアノが特徴です。私もエンリコは、以前はまっていた時期があって、数年前に来日したときは、浜離宮朝日ホールでのコンサートを堪能しました。
西山さんは以前から関西では、かなり人気ミュージシャンだったようですが、今年の9月には、Spice of Lifeから3枚目のアルバムをリリースして、確実にファンが全国区的に広がっているという、まさに旬なピアニストですね。

そして、共演者のサックス奏者井上 淑彦(としひこ)さんは、私の最も敬愛するミュージシャンです。
井上さんは、1952年生まれのベテラン・プレーヤーですが、実際に初めてライブを観たのは昨年になってからです。
場所は、横浜のドルフィー。メンバーは、北浪良佳(vo)、井上淑彦(sax)、西山瞳(p)、坂井紅介(b)。
この時は、関西で評判の北浪さんのボーカルを聞きに横浜まで行ったわけですが、これが大当たりで、昨年行ったライブの中でも満足度トップクラスのライブでした。ジャズの枠に収まりきれないスケールの大きな北浪さんのボーカルはもとより、セッションとは思えない密度の濃いコラボに感心しました。
特に井上さんの音色の美しさと音楽性の高さに強く感銘を受け、その後、ピットインに行ってリーダーバンドの演奏を聴きに行ったりしました。
但し残念なのは、今年に入ってライブを休業してしまいました。ホームページにも休業中となっておりますし、スケジュールも更新されていません。それでも実際には、月数本のライブはされているようです。しかしそれも、地元の横浜が中心なので、なかなか行く機会がありません。

そんな2人のDUOが聞けると言うことで、勇んで大塚に参上したわけですが、開演15分前だと言うのに、私が一番乗りでした。結局10人程度のライブとなった訳ですが、井上さん自体が休業中の水面下の活動なのでこれは仕方がないですね。

さて演奏の方は、西山さんのオリジナルを中心に進んでいきます。
一部の最後は、スウェーデンのピアニスト、ラース・ヤンソンの「MORE HUMAN」。この曲については、以前、ピアノの井上ゆかりさんとギターの平岡 雄一郎さんのDUOの時に感心したことを以前のブログで取り上げました。
今回この曲は、サックスの井上さんからの提案だったらしいですが、西山さんもお気に入りの曲と言うことで、実現したそうです。
井上さんの美しい音色のサックスと西山さんのクリスタルな響きのピアノとの相性が抜群に良くて、この北欧の物哀しくも美しい名曲が一層引き立ちます。
井上さんがテーマを吹き始めたとき、西山さんが嬉しそうに、ニコって微笑んだのが強く印象に残っています。
“これ、ほんま、ええ曲やわ~”といった感じで伴奏を付けていたのかな。(それとも、ランチで箸が転んだのを思い出したのかな、、、)

そして、休憩時間に井上さんとたくさんお話しすることが出来ました。
このグレコは全面禁煙です。なので、喫煙は外の階段ですることになってます。この日煙草を吸うのは、私と井上さんだけでした。(私は、実は7年間禁煙してたのに、この夏から復活してしまいました!あ~あ、、、)
井上さんのテナーサックスは、アメリカン・セルマー社の1950年代半ばのスーパー・バランス・アクション(S.B.A.)という楽器です。多くのジャズメンが使用する、マーク6より以前のモデルですね。ラッカーはほとんど禿げ上がっていて、所謂ヌード状態です。高音が特にオーボエのような美しい響きがするので、お聞きしたら、井上さんはオーボエの音が大好きで、奏法を工夫してそのように響かせているようです。なので、普通の人が、大金を出してS.B.A.を手に入れても、オーボエのようには勿論響きません。

さて二部は、同じくラース・ヤンソンの「Marionette」でスタート。この曲も、「MORE HUMAN」が収録されているアルバム「A WINDOW TOWARDS BEING」の7曲目に入っています。聞けば聞くほど沁み込んで来る名曲です。
続いて、西山さんの最新アルバムから「Images & words 」。CDのピアノ・トリオバージョンも良いんだけど、今日のDUOで聞くとまた違ったテイストで楽しめました。それから、何曲か西山さんのオリジナルが続き、最後のアンコールは井上さんの名曲「Fireworks」で締めくくり。

今日は本当に素晴らしいDUOを堪能しました。

井上さんは、来年には、リーダーバンドを復活させたいと話されていました。楽しみですね。
でも、その前にこのクルージングが休業しそうだなぁ、、、

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