今日は散髪です。
ほぼ35年,同じ散髪屋さんを利用していました。
子供たちも,小学生の時までは連れて行きました。
その散髪屋さんは町内では有りません,家からは車で10分かかります。
その店に入ったのは,偶々です。
それまでは,ほぼ毎回行く店を替えていました。
そうすると必ず,「何の仕事?,忙しい?,独身?,子供は?,趣味は?」
今の様に「個人情報保護法」などない時代です。
あれやこれや散髪のあいだ中,聞かれ,聞かされます。
時には,聞きもしないのに,「わが子自慢」まで延々と聞かされました。
リップサービスとして当然ですが,私は「寡黙}が好き,次回からは行きません。
という事で,店は毎回替わります,毎回「個人情報」を聞かれます。
「ん,今日は違うぞ」
店に客はいません,黙って椅子をすすめてくれ,上半身にカバーをしてくれます。
散髪見本を見せてくれます,「どの髪型にするか選べ」という事らしいのです。
私が決めると,黙って頷いて散髪が始まりました。
横のドアから出てきた奥さんらしき女性が鏡に写り,鏡越しにかるく会釈してくれます。
私も少し頭を下げます,女性は何やら手と指を動かし主人と話しているようです。
口も動いていますが,声は聞こえません。
女性は少しお腹が大きいようです。
散髪が終わるころには分かりました,二人は夫婦で,ともに「聾唖」の方です。
依頼,馴染みとなり35年です。
散髪途中電話が鳴れば,私が受け,メモし,主人に渡した事も何度かあります。
通い始めて間もなく子供が生まれ,その子供の子供が店に顔を出すようになりました。
その散髪屋さんが店じまいをされました。
さー,次からはどこへ行こうか。
今更,髪型がどうのこうのとは言いません,細部にはこだわりません。
ほどほど長く,ほどほど短くしてくれれば良いのです。
ですが,始めての店に入るには,勇気がいります。
「さー行くぞ」意を決してドアをあけます。
「カットでいくら,シャンプーでいくら,髭剃りでいくら」,の店です。
入り口を入って直ぐにソファーが有ります,誰も座っていません。
先客二名はそれぞれ椅子に座って散髪をしてもらっています。
ソファーの前後に,大きな張り紙二枚です,大事な個所?は赤字で書いてあります。
一枚は「ソファーの上に足を上げないで下げて下さい,普通に座ってください」です。
思わず,足をそろえて座ります。
もう一枚です。
「シルバーの方は平日にご来店ください,土曜,日曜,祝日は現役世代に譲りましょう」
頭は白いし,現役でもない,これは合格。
今日は水曜日,祝日でもない,これも合格。
テレビの横に張り紙が有ります「チャンネルは変えられません,固定しています」
テレビも見たくありませんから,チャンネルは変えません。
新聞と雑誌が置いてあります,新聞を取ろうとすると,本棚の前にも張り紙が有ります。
「作業終了後の本読みはご遠慮ください」これは黒字です。
“作業”終了後はすぐ帰るつもりですからこれも自分には,問題なしです。
そうです,散髪する事は“作業”です,散髪代は“作業”の対価です。
そういう時代です。
順番が来ました,“作業”台に座ると,鏡の横に書いてあります。
「作業中のケイタイ電話はできるだけご遠慮ください」と。
そして,「できるだけ」の部分は残し,大きく赤で×がしてあります。
ケイタイが鳴ったらどうしよう,少しびくつきますが鳴りません。
私の“作業”は必要最小限の会話で終了,いつもより安くつきました。
高齢者です,仕事もありません,安ければいいんです。
「次回からケイタイの電源を切って,この散髪屋さんで“作業”をしてもらおう」
やれこら やれこら
ほぼ35年,同じ散髪屋さんを利用していました。
子供たちも,小学生の時までは連れて行きました。
その散髪屋さんは町内では有りません,家からは車で10分かかります。
その店に入ったのは,偶々です。
それまでは,ほぼ毎回行く店を替えていました。
そうすると必ず,「何の仕事?,忙しい?,独身?,子供は?,趣味は?」
今の様に「個人情報保護法」などない時代です。
あれやこれや散髪のあいだ中,聞かれ,聞かされます。
時には,聞きもしないのに,「わが子自慢」まで延々と聞かされました。
リップサービスとして当然ですが,私は「寡黙}が好き,次回からは行きません。
という事で,店は毎回替わります,毎回「個人情報」を聞かれます。
「ん,今日は違うぞ」
店に客はいません,黙って椅子をすすめてくれ,上半身にカバーをしてくれます。
散髪見本を見せてくれます,「どの髪型にするか選べ」という事らしいのです。
私が決めると,黙って頷いて散髪が始まりました。
横のドアから出てきた奥さんらしき女性が鏡に写り,鏡越しにかるく会釈してくれます。
私も少し頭を下げます,女性は何やら手と指を動かし主人と話しているようです。
口も動いていますが,声は聞こえません。
女性は少しお腹が大きいようです。
散髪が終わるころには分かりました,二人は夫婦で,ともに「聾唖」の方です。
依頼,馴染みとなり35年です。
散髪途中電話が鳴れば,私が受け,メモし,主人に渡した事も何度かあります。
通い始めて間もなく子供が生まれ,その子供の子供が店に顔を出すようになりました。
その散髪屋さんが店じまいをされました。
さー,次からはどこへ行こうか。
今更,髪型がどうのこうのとは言いません,細部にはこだわりません。
ほどほど長く,ほどほど短くしてくれれば良いのです。
ですが,始めての店に入るには,勇気がいります。
「さー行くぞ」意を決してドアをあけます。
「カットでいくら,シャンプーでいくら,髭剃りでいくら」,の店です。
入り口を入って直ぐにソファーが有ります,誰も座っていません。
先客二名はそれぞれ椅子に座って散髪をしてもらっています。
ソファーの前後に,大きな張り紙二枚です,大事な個所?は赤字で書いてあります。
一枚は「ソファーの上に足を上げないで下げて下さい,普通に座ってください」です。
思わず,足をそろえて座ります。
もう一枚です。
「シルバーの方は平日にご来店ください,土曜,日曜,祝日は現役世代に譲りましょう」
頭は白いし,現役でもない,これは合格。
今日は水曜日,祝日でもない,これも合格。
テレビの横に張り紙が有ります「チャンネルは変えられません,固定しています」
テレビも見たくありませんから,チャンネルは変えません。
新聞と雑誌が置いてあります,新聞を取ろうとすると,本棚の前にも張り紙が有ります。
「作業終了後の本読みはご遠慮ください」これは黒字です。
“作業”終了後はすぐ帰るつもりですからこれも自分には,問題なしです。
そうです,散髪する事は“作業”です,散髪代は“作業”の対価です。
そういう時代です。
順番が来ました,“作業”台に座ると,鏡の横に書いてあります。
「作業中のケイタイ電話はできるだけご遠慮ください」と。
そして,「できるだけ」の部分は残し,大きく赤で×がしてあります。
ケイタイが鳴ったらどうしよう,少しびくつきますが鳴りません。
私の“作業”は必要最小限の会話で終了,いつもより安くつきました。
高齢者です,仕事もありません,安ければいいんです。
「次回からケイタイの電源を切って,この散髪屋さんで“作業”をしてもらおう」
やれこら やれこら