俊輔は、雲一つない五月晴れの空の下、けふも垣生の海岸線を歩いた。
昨日は海の水があんなに澄んでいたのに、一転、けふは何故か濁っている。
『雨も降ってないのに、どうしたことだろう』
などと思いながら歩き続ける。
遠く、しまなみ海道に架かる橋が見える。
ちゃんと撮れないのは覚悟の上で撮影してみる。
肌に触れる、風を孕んだTシャツのテクスチャーが心地良い朝。
俊輔はこう決めた。
『地面にすっくと立って歩き始めよう』
素直にそう決めたら、瞬時に心が軽くなった。
そして、俊輔は一年間動けなかった場所からようやくその一歩を踏み出した。
それから、これまでずっと立ち塞がっていた目の前のドアを開けて、次のステージへと歩を進める。
恐らくはこれから、懴悔と感謝の気持ちを噛みしめながら生きてゆくことだろう。
一歩一歩、その瞬間瞬間を噛みしめ、孤独を味わいながら歩いてゆく。
そして、その先で孤高の存在となろう。
俊輔は、そう決めた、ようだ・・・
「ON THE ROAD」浜田省吾 ライブ盤以外で聞けるのはこのシングルのみ
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