宝島のチュー太郎

酒屋なのだが、迷バーテンダーでもある、
燗酒大好きオヤジの妄想的随想録

山のサウナにて

2024-01-24 11:30:12 | 徒然




 昨日は定休日、用事を数件こなした後、いつもの山のサウナへ。
別子ラインに差し掛かると、路肩に降雪の名残りが。
山は雪が降ったんだね。

 脱衣後、読みかけの単行本と老眼鏡を手に、露天風呂へ。
出入り口から外へ出ると、直ぐ脇の山肌が目に飛び込んできた。
所々に残った雪、その辺りから立ち上がる霧。
まるで山水画のようだとうっとりと眺めていると「カワバタくん」と呼ぶ声。

振り向けば、すぐ傍のデッキチェアに寝そべった人。

「あ、おひさしぶりです」
「ひさしぶりやねえ、元気だった?」
「ハイ、え、先輩、今日は休みですか?」
「いや、昼からなんよ」
「そうですか、今日は冷えますねえ」
「ホントに」
「失礼します」
「うん」

私はその足で露天風呂に浸かりながら本を読み始める。
その人は、明治大学OB会新居浜支部の先輩。
ある信用金庫の理事長で、商工会議所の会頭でもある。
故あって、私は明大OB会を退会した。
もう10年近く前のこと。


 暫くすると、先輩が横に入ってきた。

「こんなとこで会うなんてな」
「ホントです、しかし、今や会議所の会頭さんなんですね」
「いやあ、あれは充て職でな、しょうことなしよ」
「いやあ、ご活躍で」
「しかしあんたは相変わらずスリムやなあ、腹は出てないし」
「ええ、いつ脱いでもええように、それなりに努力はしよります」
「ほぉ、まだそないな艶っぽいことしよんかな」
「いや、風呂に入るときのことですよ」
「なるほど、それはおもろい」
「ハイ、そういうんも心掛けとります」

と暫く話すと出ていった。



 これ、露天風呂に浸かって以降の会話は作り話。
その後のサウナの中で浮かんできたストーリー。
私には、今あった出来事を文章化するとしたらどうなるだろう?と、無意識に脳内で作文の下書きを組み立て始める性癖がある。

 実際には、次にデッキチェアを見たときにはもう先輩の姿は消えていた。
折角声を掛けてくれたのに、後輩として愛想なさ過ぎたかなあ・・・






読み掛けの本はこれ。
ぐんぐん引き込まれる。








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