これは河原にたくさん生えているオオマツヨイグサ、いわゆる月見草である。葉を地面に密着させ放射状に拡げて冬を越すのだが、この状態ををロゼットという。(ロゼットと聞いて白子さん黒子さんを思い出した人はもはや老人の部類である。)
ロゼットで冬を越す草はいろいろあるが、オオマツヨイグサは何と言っても鮮やかな赤が目立つので、雪の間にこれが見えると印象深い。やがて春の日差しを浴びると次第に茎を掲げて伸び、平凡な雑草になってしまう。
そして黄色い花の咲く頃には人の背丈を越え、猛々しい感じすら与える。
季語としての「月見草」は花の時季である夏ということになる。ロゼットは冬から早春に見られるので、俳句に詠むなら「冬草」とするのが順当であろう。単に「冬草」と詠んだだけでは上の写真のような印象は伝わらないけれど、それを丁寧に説明するのは必ずしも俳句の役目ではない。
冬草や会へばはげしきことを言ふ 夏井いつき
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