勝手に思うままに 榊原秀光のブログ

日頃 思っていることや感じたことを思うままに書きます。

勝手に思うままに 41

2010-02-03 08:47:58 | 平和
今回は、両手両足の切断という重い障害を抱えながらも、人生を力強く生き抜き、
ヘレンケラーにも称賛された中村久子女史の次女・富子さんのお話です。

 母の72年の生涯というのは、辛いことのほうが多かったと思うんですよね。
でも母はそれを語らずに、自分を取り巻いてくださったいい方がいろいろなことを
教えてくださったと、人のご縁の大切さ、一期一会をすごく大事にしましたね。

だから母のいただいたご縁というものを一つひとつ振り返ってみると、本当にその
一つひとつの出会いから、母はすごいものを与えていただいてきたんですよね。

だからそれだけ母は幸せだったと思います。
その中にはクリスチャンの人もいる、いろいろな宗教の方もいるけど、そういうも
のを全部含めて、一つのものになっているような気がするんですね。と、富子さん
はいう。

勝手に思うままに41 生涯が教えるもの

母が子どもの時、一所懸命口で縫ったお人形の着物をお友達にあげたら、その子の
お母さんに「こんな唾で濡れた着物なんか汚くて」って川へ捨てられて、ものすご
くショックを受けたという話があるんです。

母は私に言ったんですが、あの時は、悔しいよりも、捨てられたことよりも、そん
なものしか縫えない自分が情けなかった。

それからまた一所懸命に練習をして、濡れないように縫えるようになるまで13年半
かかったって言うんですよ。

私はその話を初めて叔母から聞いた時、母に
           「13年半もかかったの?」って言ったら、母が

「そうよ、富子。濡れなくなるまでに、13年半かかっちゃった。フフッ」
って笑ったんですよ。

その時に母は私に言ったんです。

人間ていうものは、悲しいもんですって。

その人の一言がなければ、母さんはいまだに濡れたまんまのお裁縫をしていた
かもしれない。


「濡れて汚い」と言われたので、なんとかして濡れないように縫いたいと思っ
て、縫えるようになったんだから、感謝しなければいけないのに、なかなかそ
の感謝ができない。言われたことを、自分は決して忘れられない。人間って悲
しいものねって。

その人とはその後も何度も会って、向こうは自分の言ったことは完全に忘れていて、


「富子ちゃんが大きくなりましたね。よかったですね、久さんは」
 
 なんて言ってくれる。
でも自分の胸の内では、グーッと込み上げる悲しさがあるんですって。

そして私に言いましたよ。

「富子は言葉が悪いから、人に言葉を掛ける時は気をつけなさいね」って。

あなたが何気なく言ったことが、
相手を傷つけて一生心に残ることもあるからって。  以上

言葉って プラスにもマイナスにも働くものですから、丁寧に使わなければ
いけませんね。
守るもの 丁寧な言葉 大切です。