信州にはカミユキという言葉がある
冬と言えば北信に多くの雪が降る信州で、春先に北信は雪が降っていないのに中南信にまとまった雪が降ることがある
これをカミユキと言うらしい
軽井沢や塩尻あたりにそこそこ積もるくらいの雪が降った
翌日の天気は晴れ予報だ、期待が膨らむ
未明に高速乗って、現地に向かう
長野の空も白っぽかった、松本まで来ても白っぽい、どうだろうかと不安を覚える
しかし現地に着けば心配はどこ吹く風で、キンと冷えて人工衛星が見える程度に満天の星空だった
星が綺麗だと天体観測のツアーなんかも組まれるだけある地域だ
夜明け前の駅で入換などを撮っていたら、夜明けを迎える
気が付けば、カメラもバッグも霜が降りて白くなりかけている
撮影に夢中だったけど、手もかじかんできていた
3月末だってのに、この日の気温は氷点下10℃近かった
日の出前、いよいよ辺りの様子も分かってくる
若干霞んでいるかなと思ったけど、八ヶ岳はご機嫌である
いよいよ寒さに負けて、自販機で缶コーヒーを買って、手を温めながらタバコを吸う
矛盾すら感じるけど、空気のウマい所で吸うタバコは格別だ
高原の空気を肺いっぱいに吸い込みながら
動物の足跡もないくらい、まっさらな雪原をザクザクと歩く
しばらく待つと、列車がやってきた
オレンジ色のチビな機関車がピーッと汽笛を一声、通過していった
八ヶ岳高原列車