下りの特急しなのが10分くらいの遅れを持って篠ノ井線に入ってくるのが続いた日だった
名古屋の方の人身事故だったか天候不良だったか、詳細は忘れたが、下りのしなのが遅れていた
この日は白昼堂々、EF64の引くチキ車が川中島にやってくると聞きつけたので、眠い目を擦りながら姨捨から迎え撃とうと出撃した
しかしだ、下り特急しなのが10分程度の遅れに基本は単線の篠ノ井線に入ってくる上に、まぁ過去に使ったことがあるんだろうなという臨時のスジで同じく下ってくる臨時のレール輸送列車が入り込んでいる
これ、こんだけ乱れていれば絶対に臨時列車は割を喰うだろうパターンだというのは目に見えている
元から、篠ノ井線の長い単線のダイヤはそこまで余裕があるようには思えないからである
篠ノ井から上り貨物の2084列車も動いているわけで、割とその辺は所定の行き違いでなくなった瞬間に、本物の輸送指令が何処で割るのかということを想像する「セルフ指令員」になったつもりでスジを追わなければならない
気分はもう、セルフ指令員
当日の2分目ダイヤを俺にくれって感じである できれば割りをどうするか聞きたい
何しろ、遅れていようが最優先は特急しなの
そこにブレは無い
「しなの通すぜ」 「しなの通すぜ」 「しなの通すぜ」 と三回も連呼するくらいに、長野から出て来る上りのしなのを塩尻場面で数分に収める程度に、篠ノ井線単線区間は支配されるはずだと踏める
特急しなのは稲荷山~冠着までの、特急だとたかだか10分程度で抜ける区間で、一切の待避をしない
つまり、特急しなのは桑ノ原も姨捨も通過せざるを得ないので、この区間に特急が入ったら確実に他の列車は逃がさなければならない
JR東日本のどこトレで旅客列車の在線が見れる便利な時代で、更に便利な時代で個人のサイトで篠ノ井線の最新のダイヤらしきものが公開されている
某サイトでは2084列車は桑ノ原待避らしいが、レール輸送を通してくるとなると、桑ノ原で貨物とレール輸送とが被るくらいの遅れと行き違い変更が出ている
桑ノ原に上下列車が待避することはありえない(それはデッドロックだ)のだけど、2084列車が桑ノ原をスルーしているのが山の上から見えた気がした
まさか上り貨物を下りのレール輸送と冠着でバッテンするのか!!? レール輸送の姨捨入駅をやめて桑ノ原で〇に戻すのか!!?
しかし、10分程度の遅れの持ち回りである
そこまでレール輸送を殺すわけがないとも思った
その時点で既に次の下りの特急が坂北を出ていたから、現場では何処まで来ているか分からぬが追われるレール輸送を先へと出したいはずだと
これ、2084列車とレール輸送は姨捨でバッテンじゃないか・・・?
と、思った時には2084列車が姨捨へ入ってきた
2084列車が折返し線で停まる頃、「篠ノ井上り接近」「篠ノ井下り接近」の機械的な音声が聞こえた気がした
2084列車が折返し線からバック運転をし始めた頃、チャバネゴキブリみたいな色の機関車がゆっくりと入ってきた
畜生!下で撮ってりゃ貨車同士の姨捨同時入線だと毒づいた所で遅い話だ
どんなに連写機能が優れたカメラを持ってようが静止画撮影の私は、推進バック運転の貨物と順方向入線のレール輸送列車との速度差で距離が縮まることを祈る木偶の坊に過ぎなくなった
ファインダーを覗きながら祈るしかない
八百万の神も仏も何も関係ない、そこに存在して支配するのは決められた運転速度なのだから
一画面に収まってくれと固唾をのむが
惜しい わずかの差で貨物列車が逃げて行った
からの、チャバネゴキブリの姨捨山だ
姨捨で貨車が並んだ
せっせと撮っている内に、下りの特急しなのが追い付いてきて、踏切を鳴らし始めた
レール輸送の先を追う私も、先回りせねばとその場をあとにした