右岸堰堤の一部が立ち上がった工事現場を視察に来た工事関係者。 出典元:十日町市・中魚沼郡(川西町・津南町・中里村)・松代町・松之山町,十日町・中魚沼・松之山郷今昔写真帖 保存版,郷土出版社,2002年09月
私はこの日、宮中ダムを改めて観察しに来た。7月の午前中の太陽光が橋脚にどういう当たり方をするのかを確認したかったこともある。そして、段丘崖を降りて河原から見上げるような宮中ダムを感じたかった。それだけ。
しかし、河原に降りた瞬間に、まさかというものが転がっていた。
どう見ても、軽便レールである。宮中ダムの直下に、軽便レールが転がっているのだ。半信半疑で近づく。
どう見ても軽便レール。錆に錆びて側面に記されるはずの由来を示す刻印なども残っていないが、このレールの細さは軽便レールだ。
もっとも、これが工事専用線のレールかどうかは分からない。現場のトロッコ軌道のためのレールもこれくらいのレールを使用しただろう。むしろ、そっちの方が可能性が高いかもしれない。判断する材料がない。とは言え、こんな場所にレールが転がっている理由として、堰堤工事に関係したものであろうことは想像に難くない。いつ、どういう経緯でこの河原に打ち上げられたのかも分からないが、おそらく鐵道省の工事関係で使われたものだろう。なんにせよ、宮中で鉄道や軌道を想起させる材料としてのレールを見付けたことが嬉しい。