医療ミステリ。癌細胞を可視化することで、細胞レベルでどこに潜んでいるか分からない癌も捕捉することができる画期的な医療技術を売りに、ロボット手術システムの外科医の才所准一は、大阪で海外富裕層向けの自由診療クリニック「カエサル・パレスクリニック」を運営している。抗癌剤・免疫療法の趙鳳在、放射線科の有本以知子、予防医学の小坂田卓という優秀な三人の理事とともに最先端のがん治療を提供し、順調に実績を重ねていた。ところが、久しぶりに訪ねてきた病院の顧問が不審死を遂げる。これは病死か事故か、それとも・・・。「週刊文衆」のフリー記者矢倉が取材に来て、スキャンダル記事が掲載され高額な治療費への批判なども受け、クリニックに吹き荒れる逆風。才所はこうした事態にどう立ち向かうのかと展開される・・・。日本の国民皆保険は、世界に誇れる素晴らしい制度であるが、自由診療だけの病院を開設し、高額な言い値で治療を行う問題点を描いる。「医療でいちばん大切なことは患者さんに希望を与えること」希望を与えるために嘘の治療を行うことが本当に患者のためになるのか、考えさせられる内容でしたが終盤の結末は残念な終わり方で納得がいかなかった。
2023年3月角川書店刊
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/ec/32654175ab449b420f97e8a509f103d3.jpg)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます