30歳になるノンフィクション作家の草下彰は、自分自身の生い立ちをテーマに作品を書く決意をした。草下の両親は彼が15歳のときに殺害され、犯人はいまだ不明だった。唯一の手がかりは犯行前に草下を訪ねてきた謎の男だったのだ。ある日公園で、男が倒れているのを発見し警察に通報した。その殺された男は井ノ内といい15年前の謎の男だった。殺された男、井ノ内の足取りを辿る草下だったが・・・。井ノ内の過去が少しずつ明らかになるにつれ草下の過去にも繋がって来る展開。人はどこかで皆、繋がっている。人の思いの繋がりの中で人は生きている。無戸籍問題や学びたくても入学できない夜間中学などの問題を扱いつつ深く切ない母親の愛情を描くミステリー小説。見えない絆の繋がりの物語でした。
2022年3月双葉社刊
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