警察と医療を融合した医療ミステリ。医療事故で自分の診断に自信が持てず、迷ってばかりで、ついには患者の前に座るのが苦痛になった家入陽太郎が勤務する三品病院は、大阪市生野区鶴橋にあって、ベッド数二〇〇あまりの中規模病院。父から大阪総合大学医学部時代からの友人三品元彦のもとで「一度外の飯を食え。医療の本質を知れば強くなる。強くなれば再び患者の前に立てるはずだ」と、勉強するように言われた。彼の下でまずは他の医師たちの助手を務め、残りの時間は書類整理をするよう命じられた。数か月過ぎたいまも、まだ患者を診断するのは無理。まして救急患者となると、死にかけた男性の顔がちらつき、足が震える。そんな時何者かに腹部を刺された五十嵐夏帆が大阪の三品病院に緊急搬送された。懸命な治療の甲斐もあり、損傷した脾臓を温存したまま夏帆は一命をとりとめた――かに思えたが、術後あり得ない速さで容態が急変、命を落としてしまう。死因は刺傷によるショック死、あるいは医療ミス、それとも・・・院長から死因の究明を命じられた内科医の家入陽太郎は、夏帆の事件を担当する大阪府警の刑事・成山有佳子の協力を得て調査を開始する。夏帆の仕事場に入ると、真菰(まこも)が入っていた水槽が割れ、床が水浸しになっていた。やがて陽太郎は有佳子の助けを得て、自宅と仕事場で病原菌の検査を開始する。・・・
医学専門用語が多過ぎて読み辛い。感染症の知識がないのでわからないことが多いが、自然に生息する菌が突然、牙をむく恐ろしさが、コロナ禍を経験した今リアルに感じた。家入陽太郎と、若手刑事 成山有佳子の二人の視点から、語られるが2人の今後が楽しみ。続編ありかな。
2022年7月講談社刊
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