3代将軍家光の時代、伊賀の忍びの里に服部半蔵から五人の甲賀忍者の麩垣将間、藪須磨是清、紫真乃、奢京太郎、李香の殺害指令が下された。指名された五人の忍者は甲賀の里に向かうが、甲賀の里にも同じような命令が届いていた。忍者同士による殺し合いが始まるが、その頃里では次々村人が殺される事件がおきていた。次々と斃れていく仲間たち、その背後に蠢く陰謀があるのでは?と疑問に思いつつ密命を受けた忍者達が忍法とトリックを駆使して命を奪い合う。伊賀の半太夫は早々に顔面を剥がされた状態で見つかり、塔七郎と、十佐は戦いの中で知り合った旅の牢人・由比与四郎、そして江戸城勤めの親友の手を借りて、忍者同士で殺し合わせる背後にあるものを探ろうとする。くノ一の湯葉、最年長の五郎兵衛。対する甲賀の麩垣将間。この忍者バトルが面白い。殺しの任務よりも自分の楽しみやプライドを優先させてしまい、不可能状況の演出に異常にこだわりそのため恐ろしく手間をかけて相手を殺そうとする。殺人手段が、数多く登場するのがユニーク。謎と仕掛け、特に「真犯人」すら想定しなかったある人物の秘密を絡めることで、事件をさらに複雑なものに変化させる展開。さらに、この時代が生んだ非情と無情、そして理不尽の存在をえぐり出す凝った結末に結構楽しめた。
2019年6月南雲堂刊
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