4月期に始まったアニメ『氷菓』が第2期に入っている。『氷菓』は米澤穂信の小説『古典部シリーズ』(私は未読)のアニメ化で、製作は『けいおん!』や『日常』の京都アニメーション。
主人公は4月から神山高校に入学した折木(おれき)奉太郎。「やらなくてもいいことはやらない」という省エネ主義を信条とする奉太郎だが、姉(同じ高校の卒業生)からの要請(というか命令)で、今年度に入部者がいなければ部員ゼロで廃部になる運命にあった古典部に入ることに。他に入部希望者がいるとは思えない奉太郎は、部員1人だけの古典部で3年間を気楽に過ごすつもりでいたが、蓋を開けてみれば同じ1年の福部里志(奉太郎の中学時代からの親友だが、心の中では奉太郎に対抗意識を持っている)、伊原摩耶花(まやか)(奉太郎の小学校からの幼なじみで、実は里志に気がある。漫研と掛け持ち)、そして千反田(ちたんだ)える(豪農、千反田家の一人娘で天然キャラ)の3人も古典部に入部。奉太郎の目論見は潰えた。
そんな折、古典部の部室が知らない間に密室状態になっていたという出来事があり、えるの「私、気になります!」という言葉に突き動かされて奉太郎がその謎を解いてしまう。そして他の3人から探偵の才能を認められた奉太郎は、嫌々ながら周囲で起こる不思議な出来事に関わっていくハメになるのだ…。
ここで取り上げられるのは「事件」ではなく日常のささいな謎や不思議な出来事であり、そのアニメを製作するのが「日常系」を得意とする京アニだったのは必然といえるかもしれない(個人的にはufotableやProduction I.G.が作る『古典部シリーズ』というのも見てみたかったが)。
で、ミステリが好きなもので4月から『氷菓』を見ていたのだが、ハッキリ言って面白くない。いや、面白くないというより、見ていると何だか妙にイライラして、もう見るのを止めようかと毎回のように思っていた(それでも半分惰性で見続けていたんだが)。それが第1期まで。
しかし第2クールに入る頃から、なぜか妙に面白くなり、今は毎週楽しみになっている。一体なぜ?
その謎を奉太郎張りに考察してみると、原因はどうも千反田にあるようだ。千反田が瞳をキラキラさせて「私、気になります!」という決めゼリフを吐くと奉太郎にスイッチが入り謎を解く、というのが『氷菓』お決まりのパターンで、そのセリフにヒロインである千反田のカワイらしさが詰まってる、ということなんだろうが、俺はダメだ。あのセリフを聞くたびに体の奥がゾワゾワしてきて
「そんなに気になるなら、そのスカスカな頭を働かせてちっとは自分で考えろ、このバカ女」
と言ってやりたくてたまらなくなる。やっぱり俺は奉太郎のようにはなれないなー。
その『氷菓』が第2期になって面白くなってきたのは、回を重ねて千反田のそのセリフに対する耐性がついてきたためと、第2クールの「クドリャフカの順番」シリーズが話としてよくできていること、そしてもう1人の登場人物によるものだろう。
そのもう1人、『氷菓』中で俺が最も興味をそそられるのが、第1期の後半を飾る「愚者のエンドロール」シリーズ(アニメだと「試写会に行こう!」から「愚者のエンドロール」まで)から登場する、「女帝」の異名を持つ2年の入須(いりす)冬実だ。
入須は、天然と無邪気さと好奇心の塊のような千反田とは対極にあり、非常に頭がいいが、それを派手にひけらかしたりみんなを引っ張っていくリーダータイプではなく、いつも一歩引いたところから全体を俯瞰して最適解を導き出し、迷いも妥協もなく粛々とそれに向かって進んでいく、一見すると人間味に乏しい体温の低そうなタイプ。
声を担当するゆかなは、入須について「もしリアルに存在していたら、彼女のことを好意的に解釈してくれる人は少なくとも学生時代にはあまりいないと思う」と語っている。
ちなみに、入須はこの『氷菓』の物語の中では2番目に頭のいい人。1番は奉太郎かって? いやいや、奉太郎は3番目。一番頭がいいのは、奉太郎も、入須すらも自分の手の上で転がしてしまう「あの人」だ。
そういうわけで、千反田のあのセリフを聞いてキュンとなれるなら、あるいは少なくともあのセリフに耐えられそうなら、『氷菓』はオススメ。見逃した方も「氷菓 アニメ」とかで検索すれば、ネットの無料動画サイトで第1話から見られる。
それと『氷菓』は、ちょい役で凄い人たちが出ているのだ。例えば『まど☆マギ』の鹿目(かなめ)まどかや『Gosick』のヴィクトリカの声を担当した悠木碧(あおい)が、入須に言われて奉太郎たちを呼びに来た2年の女生徒とか漫研部員1を演じていたり、文化祭のシーンで校庭で歌っているアカペラ部が「ゴスペラーズ」だったりするので、その辺も注目。
わたし、どうしても
このお宿の事が
気になりますッ!!』
≪聖地巡礼≫
アニメ“氷菓”ご当地グルメ◆飛騨牛・朴葉味噌◆と◇無料レンタサイクル◇スポット探索プラン
- お宿 むひょうかん(霧氷館) -
『氷菓』、半年(=2クール)やってましたから。