深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

変格のゴルトベルク

2010-02-28 00:47:37 | 趣味人的レビュー
ゴルトベルク変奏曲
 ヨハン・セバスティアン・バッハによるクラヴィーア曲。最初に主題となるアリアを提示し、そこから30の変奏曲を展開、最後に再び冒頭のアリアで終わる円環状の構造を持つ。不眠症の伯爵カイザーリンクのためにヨハン・ゴットリープ・ゴルドベルクが演奏する曲として、バッハが作曲したと伝えられることから、この名が付けられている。

2/27土曜日、すみだトリニティホールにて清水靖晃&セキソフォネッツによる、サキソフォンとベースのために編曲された『ゴルトベルク変奏曲』の世界初演。清水靖晃は1996年に同じJ・S・バッハの『無伴奏チェロ組曲』をテナーサックスで演奏したアルバム『CELLO SUITES』を発表している。

清水靖晃&セキソフォネッツによる『無伴奏チェロ組曲』第1番第1楽章プレリュード
ミッシャ・マイスキーのチェロによる『無伴奏チェロ組曲』第1番第1楽章プレリュード

今度のプロジェクトに当たって、清水はグレン・グールドの演奏する『ゴルトベルク変奏曲』を聴き込んだという。そして彼の導き出した答は、サキソフォンとベースによる30+2曲からなる輝くような『ゴルトベルク』だった。

通常『ゴルトベルク』は、最初と最後のアリア、そして各変奏曲の間は、ごく短いインターバルが置かれるだけで、一連の曲として演奏される。しかし今回の『ゴルトベルク』は1曲1曲がきちんと区切られる。それぞれの曲は短いので、「あぁ、もっと聴きたい」という思いがほのかに残る中で終わりを迎え、そこで拍手が起こる。照明も曲ごとに変化する。そうか…『ゴルトベルク』とは、こうして聴くものなのかもしれない。

今回のコンサートはまず清水靖晃だけが登場し、清水のソロによる最初のアリアによって始まった。そのアリアが終わるとともに4人のサキソフォネッツと4人のベーシスツが登場し、第1変奏からは9人による演奏に変わる。そしてそのまま最後のアリアも9人で演奏される(だから最初のアリアと最後のアリアは同一ではない)。第1から第30までの各変奏は、1つひとつがまるで新しい箱が目の前で開かれていくような、ワクワク感と驚きに満ちていた。

チェンバロやビアノによる演奏とはひと味もふた味も違う、サキソフォンとベースによる変格の『ゴルトベルク変奏曲』──実にいい。

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3 コメント

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saxでゴルトベルクですか (tenleechan)
2010-02-28 03:37:29
最近はいろんな人がゴルトベルグに挑戦しますね。
みんな素敵な演奏なんですが、やはりグールドの影響をかなり受けてますね。
この演奏はどうなんでしょう?
天才グールドと違った解釈で同程度のクオリティーの演奏を聞いてみたいものです。

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清水靖晃の新たな試みとして (sokyudo)
2010-02-28 10:07:53
>tenleechanさん

コンサートでもらったパンフレットの中にあった清水靖晃へのインタビューによると、
「今回の編曲のために、いろんな人の《ゴルトベルク》を聴いてみたけれど、昔からマジで聴くのはグールドだけですね。彼の血の沸きどころというか、アプローチの仕方、彼の態度にすごく共鳴するんですよ。パンクというか、ニューウェイヴっぽくてさ(笑)。」
とのこと。
彼の場合、『無伴奏チェロ』から『ゴルトベルク』と来ているので、今回どれだけ、どのような形でグールドの影響が出ているのかはわかりませんが、彼の新たな試みとして評価できると思います。

ちなみに私、実はバッハのピアノによる演奏としては、グールドよりヴァレリー・アファナシェフの方が好きなのです。アファナシェフは『ゴルトベルク』は出していませんが、『平均律クラヴィーア』の2枚のアルバムで見せた演奏は、まさに「神」です。
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NHK BSで放送されます。 (sokyudo)
2010-04-02 22:22:33
今回のコンサートのライブ映像が以下の日程でNHK BSで放送されるようです。
ウチではBS視られませんが、BSの視られる方はゼヒ視てみてください。

■NHK BShi『ハイビジョン・クラシック倶楽部』
■放送日時:4月5日(月)06:00~06:55

■NHK BS2『クラシック倶楽部』
■放送日時:6月8日(火)10:00~10:55
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