仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

【相棒 Season 10】 第9話:「あすなろの唄」

2011-12-14 22:02:47 | ドラマ、映画
微生物から重油を創り出すといふ劃期的な研究に携はつてゐた高松教授と栗田教授。
その高松教授が殺され、犯人は共同研究者の栗田教授だつた。

「あすなろの歌」が好きで、研究室で歌つてゐた高松教授。
そして、それを思ひ出しつつ歌ふ、栗田教授。
「あすなろ、あすなろ、あすはならう・・・・大きな檜にあすはならう」
「石油になれなければ意味はない、さうだよな」
この「石油にならなければ意味はない」といふ言葉は、外國資本と手を組んで研究を進めようとする高松教授のセリフだつた。
しかし、栗田教授はあくまでも日本のエネルギー自給に固執したのだつた。

ラストシーン。
右京さんと尊くんを、硫化水素が充滿した研究室に呼び込んで殺さうとした栗田教授。
その試みは失敗し、「バクテクロリス」は全滅してゐた。
どうやら、栗田教授が研究室に硫化水素を充滿させたのが原因だつたらしい。
栗田教授は、研究を守らうとして、その研究に必要な「バクテクロリス」を殺してしまつたのだつた。

「にはか科學は目的を失ふ」
これは栗田教授が右京さんに云つた言葉だつたが、自らに突き刺さる言葉になつてしまつた。
日本の將來の爲に必要な研究だつただけに、殺人と云ふ結果に終つてしまつたことは殘念だ。
なんとか殺人といふ手段に訴へることなしに、國内資本だけで研究を進めることは出來なかつたのだらうか・・・

ところで。
やつと早く歸れると喜んでゐた米澤さんに、硫化水素がいつ遺體に附着したかを調べてくれと頼む右京さん。
それは、ないんぢやないの。
これでは、米澤さんがあまりに不憫だ。
と云ひつつ、どこの會社でも見られる光景ではあるが・・・

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<印象的なセリフ>

右京:「米澤さん、遺體にはあまり近づかないはうがよろしいかと」
右京さん、自分を棚にあげてはいけませんよ。
ああ、硫化水素に汚染された遺體は危險だから、右京さんはさう云つたのか。
さすがは右京さんだ。

栗田:「私が高松教授を殺した」
資金集めを高松教授ひとりに押付けてしまつたから自殺したと云ふ意味らしいが、さて・・・。

伊丹:「自殺で處理するために自分達を動かしたんですか!」
伊丹ん、いいぞ!
内證で搜査を進める搜一トリオ。
なんだか、だんだん特命係に似て來たな。

栗田:「高松先生が自殺なんて、殘念です」
右京:「ええ、自殺で處理されてしまふなんて殘念です」

尊:「栗田教授は日本に必要な人です」
右京:「それは異存ありません」
尊:「栗田教授の研究もこれからの日本に必要な研究です」
右京:「それについても異存ありません」

芹澤:「ぼくら、これ以上は搜査出來さうにないんで。まギブアンドテイクといふことで、と伊丹センパイが云つてました」

栗田:「俄か科學は目的を見失ふ」
最終目的が大切だといふのは、とてもよくわかるのだが。

刑事部長:「無駄に察しのいいお前のことだから、何故呼ばれたのかわかつてゐるな」

右京:「科學者はつねにその研究がどんな結果をもたらすか考へなくてはならない。さうでしたね」

尊:「何を考へてゐるのですか?」
右京:「以前、君が考へてゐたやうなことです」
そして、尊くんは試驗管を取り出した。
それはわづかに生き殘つた「バクテクロリス」だつた。
尊くんに向つて、親指を立ててみせる右京さん。
ああ、希望が殘つた。

<ストーリー>

 大学の微生物学研究室で、教授の高松肇(酒向芳)が遺体で発見された。
高松教授は、「バクテクロリス」という細菌から重油とほぼ同じ成分を作りだす画期的な研究を進めていた。
 当初は病死と思われたが、遺体の臭いに疑問を抱いた右京(水谷豊)がにらんだ通り、硫化水素の吸引による窒息死であることが判明。
 共同研究者の栗田(利重剛)によると、高松教授なら高濃度の硫化水素を作りだすことも可能だというが、現場の研究室に硫化水素の痕跡はなかった。
 栗田は、「高松教授は資金集めがうまくいかないこと苦にして自殺したのではないか」、というが、研究室の職員によると、高松のもとには資金提供や共同研究の申し出が相次いでいたという。
そのことをたずねられた栗田は、高松教授がその申し出を断っていたと話す。
なぜ資金難の中、資金提供の話を断っていたのか?
 高松教授が死んだのは事故なのか、自殺か、それとも殺されたのか!?

ゲスト:利重剛


脚本:櫻井武晴 監督:安養寺工



(以上、 「相棒」公式HP より)






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2 コメント

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Unknown (ばくてろん)
2013-05-14 09:47:32
エネルギーをテーマにしつつ、人間関係の暗闇が事件のメインなのがやぱり相棒だなと。人間関係といえば、レギュラー陣もぞネ座和さだったり捜査一課だったり刑事部長だったりといろいろあって。
そんなんだから、バクテクロリスは人間に嫌気が差して消えちゃったんだよー。と、いう見方ができなくも無い印象の回でした。
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ばくてろん さん (仙丈)
2013-05-14 21:55:51
この回は、Season10のなかで好きな作品です。
フィクションながら、バクテクロリスが本当にあったら、日本が、そして世界の構図が変わるだろうなと思いました。
それに、捜1トリオが(特にイタミンが)いい味だしてましたね。
あと、米沢さん、仕事に追いまくられて不憫でした。

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