肩の凝らない漢方の話

漢方薬にまつわるあれこれを、気の向いた順に語っていきます。
私たちの生活に根差した漢方の世界をご紹介します。

こぶし

2023-03-07 15:46:00 | 薬食同源
 杉花粉が飛びだす前に鼻の薬が採集されているのをご存知ですか?
 そろそろ咲きだすコブシのことです。
 コブシ モクレン科の落葉低木です。蕾の形から拳(コブシ)が和名の由来です。 
 薬になるのはこの開花直前の花蕾を乾燥させたものです。生薬名を辛夷(しんい)といいます。

 辛夷は「九竅(人間の九つの穴で外に開いて、五臓の気が流通している場所)を通ず」と言われています。
 九竅とは鼻2穴(肺)眼2穴(肝)耳2穴(腎)口1穴(脾)前陰と後陰の2穴(腎・脾胃)の九つです。 
 特に肺の気が出入する鼻閉を通じ、鼻汁を収め、頭痛を治す働きが強いといわれています。
 辛夷の入った薬を調剤しているだけで鼻詰りが治ることを経験しています。蕾を割って臭いを嗅ぐだけで鼻がすーっと通ります。

 咲いてしまうとこの薬効が無くなる不思議な薬草です。採取する時期が最も短い薬草でもあります。
 辛夷の入った薬方は蓄膿症や鼻炎によく使われるものばかりです。

最近、なんだか調子が悪い。
「どこも悪くないですよ。」「様子を見ましょう。」と言われたけれど…
そんなモヤモヤ解消に漢方を試してみませんか?

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桃 ~ 梅と桜の間に密やかに咲く花 ~

2023-02-15 16:47:03 | 薬食同源

3月3日は桃の節句です。

春の花と言えば日本では桜、中国では桃の花です。何故か日本では梅と桜に挟まれて桃の花は存在価値が少ないようです。
中国では桃は長寿を意味する仙果であり、桃の花咲き乱れる桃源郷は中国の故事にある理想郷を意味します。
天帝の庭の桃を盗み食いして不老不死になったのは孫悟空だそうです。

桃の果実は食物繊維が豊富で便秘に効果があります。
種子は「桃仁」と言って煎じて飲むと、咳や便秘、月経不順、打撲や捻挫やそれに伴う内出血・疼痛などに効果があります。
また血の道の薬の桃核承気湯や桂枝茯苓丸などに配合されています。月経障害、冷えのぼせ、肩凝り、便秘、打撲などに使われています。

桃の花と同じ時期に密やかに咲く花に「あんず」が有ります。
此の種子「杏仁」もアーモンドに似た形です。桃仁よりアミグダリン多く、咳、呼吸困難に欠かせない生薬です。
麻杏甘石湯、麻黄湯、茯苓杏仁甘草湯、苓甘姜味辛夏仁湯などに配合されています。

桜も梅も果肉は食用にしますが、種子は薬用にはなりません。間に挟まれた桃と杏の種子が重要な生薬になるとは何か皮肉ですね。
アミグダリンの香りはあの杏仁豆腐の香りです。
魅惑的な香りですね。

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スイカ

2022-08-19 16:42:48 | 薬食同源
残暑お見舞い申し上げます。
 最盛期は過ぎてしまいましたが、まだまだスイカのおいしい季節ですね。
 暑さしのぎの王様、スイカのお話をします。
 
 スイカ(ウリ科)の原産地はアフリカです。暑い時の代表的な果物です。
 4000年前からエジプトでは栽培されていた様子が壁画にも描かれているようです。
 11世紀頃中国に西域から渡来したので、西からの瓜で西瓜と呼ばれるようになったようです。
 日本には16世紀ころ中国から渡来し、江戸時代に庶民の果物として盛んに栽培されるようになりました。
 明治後期にアメリカから入ってきた品種と交配されて、ヤマト西瓜が出来たようです。

 スイカは夏の農家の主要な収入源でした。
 私の子どもの頃は大八車(だいはちぐるま)に一杯積んでスイカ売りが来たのを覚えています。
 井戸で冷やしたスイカを家族で囲んで、毎日のようにスイカパーティーをしていた覚えがあります。
 そのころ植物ホルモンのコルフィチンで処理した「種なし西瓜」が出回りましたが、最近は見かけなくなりましたね。

 スイカは身体を冷やす働きが強く夏の暑さしのぎにはもってこいです。
 昔から、民間薬としても使われてきました。
 90%が水分でカリウムやシトルリンを含み利尿作用があります。
 腎臓病、膀胱炎、心臓病、高血圧症などの予防や改善に応用されてきました。
 夏の一時期だけしか見られないので絞り汁を煮詰めて西瓜糖を作成して用いられてきました。
 尿の出が悪く浮腫のある時に用いると効果抜群です。
 大き目の西瓜2~3個から約200㏄とれます。自分で作るのはちょっと大変そうですね。

 果糖などの糖分を多く含むので疲労回復や夏バテ予防にも、
 またカロチン、ビタミンA、B群、C等を含み動脈硬化や夏風邪や紫外線によるシミなどの予防にも良いようです。

 スイカの種子は中華料理にも出てきます。干した種を炒って食用にします。やはり、利尿の効果があります。
 果汁は、あせもに。皮は乾燥したり、黒焼きにして口内炎に使います。
 この様にスイカは実だけでなく、種や果汁、皮まで美容と健康に良いとされてきた夏の果物です。
 そんなスイカの効用に思いをはせながら、スイカを味わってみてはいかかでしょう。
 

 漢方薬には「暑気を覚まして元気を益す」という薬方「清暑益気湯」があります。残暑厳しいこの季節、一度ご相談ください。

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暑気払い

2022-06-27 11:59:30 | 薬食同源
 梅雨が明けて、本格的な夏がやってきそうです。

 日本の夏は、高温多湿で、中国の揚子江以南のような気候と言われています。
「山嵐瘴気の地」と言われる地帯です。昔、漢族が攻め込んでも、悪疫で苦労したようです。
山嵐=山に発生する悪い気  瘴気=湖沼地帯に発生する悪い気
 これらが、体に侵入していろいろと悪さをする。と考えられていました。

 湿気がからだの中に入り込むと、体の節々が痛んだり、むくんでだるくなったり、
水分の調節がうまくいかず、吐き下しを起こしたりします。
 暑気や熱気にやられて、水分をとりすぎると水滞が起こり、食欲がなくなったり、
免疫力が落ちたりするといわれています。
 
 夏の日本医住んでいる以上、この高温多湿による危険性は覚悟して、いかにこれを避けるかが大切です。
 いわゆる「暑気払い」です。暑気払いにお勧めの食べ物をいくつかご紹介します。

★梅干し  熱中症予防、ミネラルの補給、腸内の消毒、疲労回復に最適です。
★きゅうり 体を冷やしてくれます。高血圧の予防にも効果があります。
★トマト  抗酸化作用、動脈桜花の予防に。血液サラサラ効果がるといわれています。
★いちじく 整腸作用、食欲促進、二日酔いの予防に。のどが痛くなる夏風邪に効果があります。
★なす   火照った体を冷やします。暑気あたりでのぼせているときに、
      体を冷やす力が強いので、冷え性の方は取りすぎに注意してください。
★玉ねぎ  血液サラサラ、疲労回復に、暑気払いには万能といってもよい野菜です。
★オクラ  ムチンを多く含み、肝臓や腎臓の働きを高め、消化や新陳代謝を促進し
      コレステロール値や血糖値の改善に効果があります。
★すいか  利尿作用に優れ、体の中の余分な水分を排出してくれます。
      各種の浮腫に、熱中症予防にも効果的です。

どれも、この時期、旬を迎えるものばかりです。自然の妙味を感じますね。

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重要な生薬 生姜

2020-09-03 14:06:52 | 薬食同源
★薬食同源★ 胃腸を丈夫にし、風邪をぶっ飛ばせ!生姜のききめ。
生姜はショウガ科のショウガの根茎を使います。香辛料として有名ですが、漢方薬としても重要な薬物です。
霜の降りる頃地上部が黄褐色に為ったころ掘り起こしたものが「ひね生姜」です。これが漢方薬の生姜(しょうきょう)です、保存ため刻んで乾燥したものは乾生姜です、普通はこちらを使用します。生のままを使うのは真武湯など特殊な薬方です。
皮を剥いて湯通しして乾燥させたものが乾姜(かんきょう)です。生姜は鎮嘔、健胃の働きが強く、乾姜は胃腸を温める力が強く、冷え、下痢、嘔吐などに使います。
李杲(中国の金の時代の人1180~1251)が著した「食物本草」によれば、「生姜の味は辛くまた甘く、性質は少し温である。皮を去ったものは熱である。寒邪による発熱、頭痛、鼻詰り、咳、のぼせに働く。肺に入り、胃のつかえをなくし、脾(消化吸収をする働き)の働きを益す。風寒の邪による咳をなくし、嘔吐を止める特効薬である。心の働きをたかめ、穢れや邪気を除く。病気のない人は夜間に食べてはいけない。夜には気は静なのが良いが、薑は良く気を動かすからである。」と書かれています。
胃腸の働きを益し、消化を良くし、風邪の咳、嘔吐を止める作用があります。
「生姜湯に顔しかめけり風邪の神」(虚子)
おろし生姜に砂糖、蜂蜜を加えて熱湯を加えたものが生姜湯です、風邪のひき始めに服用すると効果的です。
また胃を温める働きが有るので「胃腸の弱い冷え症」の人は常食すると良いでしょう。スライスした新生姜を蜂蜜につけておいて、食後に食すると良いと云われています。前記の「食物本草」にあるように、冷えていない元気な人が夜寝るまえに食すると身体に熱が籠って眠れなくなることがあります。
咳には生姜と陳皮(蜜柑の皮)各5g位を煎じて砂糖か蜂蜜を加えて飲むと良いでしょう。痰の多い咳には、生姜を黒く焼いて刻み、蜂蜜を加え熱湯を注いで飲みます。
スライスした生姜を黒く焼いて、口に咥えているだけで「つわり」が治まります。
風邪の熱にはおろした生姜と刻みネギに熱湯を注いで飲用すると汗が出て解熱します。葱たっぷり載せて生姜汁を絞り込んだうどんは風邪の特効薬と云われています。
生姜は葛根湯、桂枝湯、桂枝加芍薬湯、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、などに大棗、甘草などと一緒に配合されています。漢方薬には無くてはならない生薬です。
乾姜はお腹を温めるために使います。下利に使われる人参湯、四逆湯、お腹が冷えて起きる片頭痛、強い嘔吐に使う呉茱萸湯、指先まで冷えがおよんで紫色になるレーノー病に通脈四逆湯。風邪のこじれによく使われる柴胡桂枝乾姜湯など多くの薬方に配合されています。ショウガがこの世になければ漢方医学はどうなっていたか想像できません。
 田植えの頃になると葉生姜はじかみが出回ります。そのかたちから矢生姜と書くそうです。
「はじかみの薄紅みゆる厨かな」(青青)とか「一束の葉生姜ひたす野川哉」(子規)と読まれています。
 焼き魚などに添えられて美味しくいただくことができます。
私には判りませんがお酒呑みにははじかみががあるとお酒を思うようです、「葉生姜や手に取るからに酒の事」(白雄)
 などと云われています。
 はじかみだから、端っこだけかじるのがマナーだと云う人が居ますが、薄紅色の茎の硬い所を残して白い生姜の部分をしっかり食べてください。
 
 先日の新聞にこの夏の天気のグラフが掲載されていました。雨の日が2日、曇りが9日、晴が32日だったそうで酷暑の夏だったことがはっきりしました。
 夏の暑さと熱中症対策で冷たい物を飲んだりして胃腸も酷使されています。まだまだ暑い日が続きそうです。ショウガを上手に使って胃腸を守り、免疫力を上げていってください。
 冷や麦に生姜、冷奴に生姜まだまだいけそうですね。


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