池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(音源リンクしてます)

メルボルンで《Ki-e》初演・批評/Youtube

2008-12-13 | CD・楽譜・YouTube

2008年12月13日(土)3:30pm、メルボルン大学(オーストラリア)メルバ・ホールにて「尺八室内楽国際作曲コンクール2008」コンサート。
拙作「Ki-e~尺八、ギター、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための」の初演(僕は出席せず)。


---プログラム---
1. 第3位
Ki-e    Devotion    / Satoru IKEDA (Japan)   楽譜+全曲試聴
Barry Bignell 指揮、Andrew MacGregor: 尺八、Kanishka Karunaratne: ギター、Aaron Barnden: バイオリン、Ceridwen Davies: ビオラ、Caerwen Martin: チェロ
2. 第2位
Essence    / Doug Gibson (Australia)
i - Trust But Verify   ii - Passacaglia
Barry Bignell 指揮、Anne Norman: 尺八、Kanishka Karunaratne: ギター、シロ弦楽四重奏団
3. 第1位: winner of the Shakuhachi Chamber Music International Prize 2008
Sky Mirror    / Derrik Jordan (USA)
i - Floating Clouds    ii - Stirs The Surface    iii - Everything Is Alive
Andrew MacGregor: 尺八、Geoff Hughes: エレキギター、シロ弦楽四重奏団
(休憩:聴衆賞の投票)
4. Jukan 樹冠    Crown    / NAGASAWA Katsutoshi (1979)
5. Songs of the Earth and Sky / Johanna Selleck (2008)
6. These Terrestrial Commitments / Brenton Broadstock (2008)
(聴衆賞の発表:Essence  / Doug Gibson)

【批評:2010年7月15日】
この演奏技術は、いくつかの全く斬新な局面では大変難しいことが分かる…尺八とギター(この2つの楽器は文化の面でも響きの面でも相反する)それぞれの伝統の「拡張」による大胆な楽想は、2つの楽器を対等のレベルで技巧的に演奏させることを目指しつつ、表現の幅、対話の織物、和声の次元、音色を増大させ、時に楽器の可能性の限界まで押し進めた。聴き手はこの音楽を刻々と細部まで聴き取ることも、自由に感じながら移動したり夢の中で彷徨ったりすることも出来る。
*  *  *
コンサートの1ヶ月前Andrew氏に、4人の演奏家の名前の発音の仕方を発音記号か、似た発音の英語の組み合わせで教えてくれないか、とメールしたら、何とカタカナで返信して頂いた。
Aaron Barnden: アアロン バアルンデン、Caerwen Martin: カエルウェン マルチン、Ceridwen Davies (Ker-RID-Wen): ケリドゥエン デビエス、Kanishka Karunaratne: カニシュカ カルナラツネ

2009年2月2日、コンサートのDVDとプログラム冊子、Ki-eのCDが届いた。Andrew氏にはメールで3作品の感想を以下のように伝えた。
《Ki-eの演奏には大変満足した。集中的で、深く印象的。コーダは美しく、瞑想的。尺八のピッチは霊妙な世界を現出した。
Essence : 第1楽章、日本の民俗音楽のような驚くべき強烈なビート。しかし弦の非常に豊かな音が時々尺八をマスキングした。第2楽章は純粋で平明な叙情。
Sky Mirror : 映画音楽のような第1楽章は、Essenceの第2楽章に類似。ペンタトニックで作られた第2楽章はやや冗長に感じた。第3楽章は「旧式のロックンロール」と解釈した。》
メールには書かなかったが、エレキ・ギタリストがクラシックのステージで鎮座し、小さな音を出しているのは去勢されているように感じた。
間もなく返信が届いた。前回の氏からのメールで、僕の名前をsatireとPC.で誤変換してしまったことを大げさに詫びる文に始まり、3作とも演奏が意図したものではなく不完全なことを詫びていた。
その後、僕は「先の感想はsatire(皮肉)ではない」と始め、「Ki-eの作曲にあたり世話になった尺八奏者に録音を聴かせたら…実に素晴らしい演奏で衝撃を受けた、との事」と伝えた。



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