ラフマニノフ「練習曲・音の絵 Op.39-1」

ラフマニノフ「練習曲・音の絵」Op.39-1 (c moll) を暗譜した。
最初、この楽譜を見た時、シューマンの「クライスレリアーナ」第1曲に似ていると思った。
しかしシューマンのその曲が、シンコペーションのバスと共に熱病的に上昇、下降するのに比べ、ラフマニノフのこの曲は、脅迫的なまでに規則的なリズムが固執し、むしろ力強い。

中間部で突如、救いの光のような明るい下行音型が何度も降り注ぐが、すでにその前から骨格となる大きな歩みが下降態勢に入っていて、この二重の下降構造は再現部まで続く。
再現部に入ると、バスが下属音Fにしばらく留まった後、Ges-As-A-B-H-C-Des-D-(E)-F-Gと、属音Gに達し、繊細に上行するパッセージを少しずつ押し上げる、二重の上昇構造となる。
それはまるで粉々に砕かれたオクターブの波頭が嵐に翻弄されるようであり、しかも圧巻の曲尾は、飛沫の一つ一つがコマ割りでズームされる！