「東京都交響楽団第710回定期演奏会Bシリーズ」をサントリーホールで聴く。指揮:ヨナタン・シュトックハンマー / ピアノ:向井山朋子 / チェロ:古川展生
プーランク(1899-1963):組曲「牝鹿」
ストラヴィンスキーの「プルチネラ組曲」の編成を大きくしたような、スピード感とスリルのある、鮮やかな原色の曲。
僕はこれまで、現代音楽のソフトで古典的な作品に対し、「プーランクのよう」と形容してきたが、それはプーランクに対し大変失礼である事が分かった。
ダルバヴィ(1961-):ヤナーチェクの作品によるオーケストラ変奏曲
「変奏曲」といっても実は何種類もの変奏がある訳ではなく、原曲のピッチを膨大に拡大し、再構成したもの。
R・シュトラウスの「アルプス交響曲」冒頭に似た、持続音の寂しげな堆積がd-f-a-cis の和音に変容したり、その構成音a に(2回)収束したりする。
こういうコンセプトなら、どんなテーマでも同じような曲になるのではないか。
権代敦彦(1965-):ゼロ―ピアノとオーケストラのための 作品95
テンポ80のオスティナートとe-fis-b 音型をベースに、オケとピアノのテクスチャが変容する。
中盤、弦の高音域のトレモロにホルンのノスタルジックなコラールとe-fis 音型が重なる辺りから俄然盛り上がる。
オケの背後にもピアノがあり、ソロの編集されたコピーを演じる。徹頭徹尾イン・テンポながら高揚・弛緩を繰り返し、最後は地獄絵を繰り広げる。
田中カレン:アーバン・プレイヤー―チェロとオーケストラのための(日本初演)
変拍子の心地よいリズムに「3度転調」を繰り返す。日常的に聴くTVや映画の音楽と殆ど区別がつかない。純化された抒情。天国的。
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