一気に読んでしまった。
石原慎太郎は田中角栄の金権政治を批判し、弓を引いた人間でもある。
しかし、彼も首都の首長を経験したからこそ、これを書けたのではないか?
「政治を関わった者としての責任でこれを記した」とも言っている。
「俺は」と言う一人称の言葉で始まる。
田中角栄は同郷で選挙区は違うが、新潟県に恩恵を与え、
いや、現在の日本を造成し、絶大な影響を及ぼした人物と言わざるを得ない。
そして、僕の幼年期、少年期の日本を牛耳ってきた一番行動力がある政治家でもある。
当時はおぼろげな記憶しかないが、田中角栄の物真似が流行った事は憶えている。
ロッキード事件であまり良い印象は残っていない。
それに、当時自我が芽生えつつあった僕は左側思想だったので、
同郷ながら悪く思うのは当然だった。
ロッキード事件は後にアメリカの陰謀、策略だと思われている。
読み終えた後、涙がこぼれて来た。
それは、一人の男が壮絶な人生を全うした、人間の悲哀と思える感情だ。
ああ、金は抜きにして、このような芯の通った政治家はもう出現しないのか?
今の政治家はあまりにも酷過ぎる。