私は子供の頃、祖母から「人間は悪いことをしたら、地獄に落ち閻魔様に舌を抜かれるんだよ。」と聞かされた記憶があります。皆さんは言われたことがありませんか?
大人になって、改めてその意味を調べたところ、一般的に昔から死者の生前の善悪を記した「閻魔帳」をもとに、死後の裁判を行う閻魔大王がいて輪廻転生の行き先を決められるという伝えがあることが解りました。
これは、死後の世界には閻魔大王など7人の裁判官がいて、死んだ者を七日ごとに裁き、最終判決を七の七倍の四十九日目に言い渡すということです。
因みに、その裁判官は初七日(しょなのか)に秦広王(しんこうおう)または不動明王・二七日(ふたなのか)に初江王(しょこうおう)または釈迦如来・三七日(みなのか)に宋帝王(そうていおう)または文殊菩薩・四七日(よなのか)に五官王(ごかんおう)または普賢菩薩・五七日(いつなのか)に閻魔大王(えんまだいおう)または地蔵菩薩・六七日(むなのか)に変生王(へんじょうおう)または弥勒菩薩・七七日(なななのか)に泰山王(たいせんおう)または薬師如来となります。
人間は生きている間の評価ばかり気にしていることが多いですが、仏教的観念からすると死後の評価が生きているときの評価と一致するかは別物ではないかと思います。
この世の評価は人間の本質を見抜くことが出来ないまま、要領の良い人間だけが評価されがちですが、死後の評価は人間の本質をつく誤魔化しのきかないものです。
あの時、祖母が私に伝えたかったことは、「人間は素直・正直に生きなければならない。人を非難してはならない。人を騙してはいけない。」という深い意味があったんだと思います。
皆さんは、この死後の審判を胸を張って受けることができますか?